中国の中央銀行である中国人民銀行が、近い将来ICO市場の規制を始めるようだ。
過去一年間で、ブロックチェーン関連プロジェクトは増加の一途をたどっており、中でもイーサリアムのプロトコルを利用した分散型の透明性の高い方法で独自のトークンを配布する企業は多い。そういったインデペンデントなプロジェクトや企業によってリリースされたトークンは、イーサリアムとの互換性を保っている。
ICOを行ってきた数多くのブロックチェーン企業が大成功を収めており、数千万ドル規模の資金調達に成功している。事実、5月3日には、従来の早期ステージのベンチャーキャピタルによる資金調達よりもICOで行った資金調達では2.4倍もの資金調達が可能であるとコインテレグラフでは報じている。
容易な資金調達方法
ICOによってスタートアップや様々なブロックチェーン系プロジェクトが簡単に仲介人を挟まずに資金調達を行っている。
Gnosisのような、3億ドルという評価額を射止め、アクティブなユーザーベースや、堅実な収入の流れをもたない従来では考えられなかった方法で資金を何百万ドルと集めたプロジェクトも存在する。
さらに重要なことは、ICOによって早期投資ラウンドでの投資が可能になり、インデペンデントな投資家たちも参加可能になったことだ。イーサリアムを購入し、独自のトークンをICOのキャンペーンを利用して購入することで、誰でもICOに参加することが可能になった。そういった分散型の仕組みによって、潜在的な投資家と利害関係者の市場を拡大させている。
しかしながら、過去数週間、専門家たちはICOの合法性を議論し始めており、将来的にSECや他の政府機関と衝突が起きるのではないかと懸念している事実もある。
ICOに対する投資家たちの懸念
最近では、著名なビットコイントレーダー、WhalePanda氏が、コンセンサスNYのイベントに関するブログ記事を書いており、同イベントでICOの合法性がその中での大きな論点の一つだったと語っている。
WhalePanda氏は、明確なビジョンや、利用者基盤、収入の流れや開発プロダクト無しに、ICOによって数億ドル規模での多額の資金調達が行われている点を批判している。特に彼の投稿の中では、GolemとElasticの件が言及されている―
「例えばGolemを例に挙げてみましょう: 4億ドル以上の時価総額ですが、明確な開発プロダクトがありません。イーサリアムベースというだけでこれだけの金額が集まっています。また、Elasticを例に挙げると、これも似たようなプロジェクトですが、700 BTC以上寄付が集まっていますが、彼らには基礎的なローンチ間近の特定の開発プロダクトがあるというだけでこれだけの資金が集まっています。または単にGnosisの例を考えてみてください、ICOの異常性によってもたらされる終焉は良いものとは言えないでしょう」
投資家たちは、今では政府機関や中央銀行なども巻き込みつつある、ICOの法的な曖昧さを懸念している。最近では中国の地元メディアであるcnLedgerが、まもなく中国当局によるICO市場の規制が開始されるだろうという、中国人民銀行の仮想通貨研究所所長、ヤオ・チェン氏の発言を報道している。
また、スマートコントラクトや、ICO監査会社の存在に関わらず、ICO市場の規制は必須であると語る専門家もいる。