中国の消費者たちは、600億ドル規模を誇るアリババのAlipayのような、銀行を利用しないキャッシュレスな決済方法へと急速に移行し始めている。そうしたフィンテック産業の急速な成長スピードに対応するため、中国の国有企業は、新たなフィンテック・スタートアップや技術をサポートするため15億ドルのファンドを立ち上げている。

香港に上場しているクレジット・チャイナ・フィンテック・ホールディングスや、上海新華流通グループ、China Huarong Internationalなど、他にも大手8社を含む中国の国有企業が、全ての中国のフィンテック業界における市場が、必要な資産を以て運営できるよう、"アジア・フィンテック合併および買収ファンド基金"を設立している。クレジット・チャイナ・フィンテックのエグゼクティブ・ディレクター、Sheng Jia氏は次のように述べている

 

「当ファンドは、ファンドパートナーの経験とブランドが認知されているという競争優位性、業界のリソースや専門知識などを活かすことで、我々の技術的なノウハウと資金源、そして彼らがフィンテック界におけるリーダーになれるような可能性を以て支援を行い、革新的なフィンテック企業へ投資することを目的としています。」

 

革新的なスタートアップのバランスのとれたポートフォリオ

 

様々なソースが、この基金により、ビッグデータや、人工知能、モバイル決済、サプライチェーン・ファイナンス、そしてブロックチェーン技術など、フィンテック業界における幅広いカテゴリーのスタートアップを支援すると伝えており、フィンテック業界のあらゆる側面をカバーするポートフォリオを展開している。

前回、コインテレグラフは、中国の消費者は最早銀行やフィアットベースの金融システムと決済アプリケーションには依存していないという話題を取り上げたが、これは主に支払い決済の非効率性に依るところが大きいものであった。

 

フィンテック・ブーム

 

コインテレグラフで以前記載した"フィンテック・ブーム―中国はキャッシュレスへ、消費者は銀行を捨てる"の記事の中では、世界トップ10位の最大のフィンテック企業たちが中国のフィンテック市場に属しており、そういった企業の爆発的な成長が、中国国内の中で絶えず変化する財政状況を直接的に表している点が指摘されている。

中国本土の専門家やアナリストの中には、外国人や国外のアナリストは、クレジットカードや銀行間送金など日常的に利用する銀行ベースのシステムを利用する人々を見つけるのが日に日に難しくなっている今のフィンテック産業の成長率を見てショックを受けるだろうと、語る者もいる。

他にもビットコインのような仮想通貨も代替手段としてメインストリーム化し、中国のフィンテック市場における著しい成長が見られれば、去年そうだったように、中国が引き続きグローバルなフィンテック・エコシステムを2017年もリードする可能性は高い。