米サンフランシスコ拠点のテック企業チア・ネットワークは、環境に配慮した仮想通貨マイニング方法について説明したグリーンペーパーを公開した。ビットコイン生成と似た手法だが、計算ではなく「スペース」を活用した生成方法だとしている。グリーンペーパーとは議論のたたき台となる文書だ。これをもとにホワイトペーパーが作られる。

具体的には、チアは、仮想通貨発行のブロックチェーン証明は、「採掘」ではなく「耕作」することを提案。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のマイニングに使用される「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」ではなく、「スペースと時間」の証明(プルーフ・オブ・タイムとプルーフ・オブ・スペース)を実行することとしている。この場合、スペースとはハードドライブ上のスペースのこと。

「プルーフ・オブ・ワークの代わりに、別の検証可能な遅延機能でスペースの証明を実行する。これによりひとつのチェーンになるのはビットコインに似ており、具体的には、ビットコインにあるような同期をしないことが必要で、我々はリソース(チアのスペース、ビットコインの計算)の十分な割合が正直な当事者らにコントロールされていると仮定して厳格なセキュリティ保証を証明できる」

チア・ネットワークは、BitTorrent(ビットトレント)の開発者であるブラム・コーヘン氏がCEOを務める企業だ。コーヘンCEOは、2017年にビットコイン向けソリューションを公開している。プルーフ・オブ・タイムの概念を採用することで、仮想通貨で「中央集権の問題」を解決するものとしていた。コーヘン氏は、「アイデアは、よりよいビットコインを作ることだ、中央集権の問題を解決すること」だとし、2段階のブロック承認方法を利用するものだった。

今年6月、米国のエネルギー論文誌「ジュール」に掲載された論文では、ビットコインのマイニングによる電力消費が大量の二酸化炭素の排出につながっていると指摘。年間の二酸化炭素排出量は2200~2290万トンとされ、ヨルダンやスリランカ、米カンザスシティの排出量と同等だとしている。

今年3月には、世界4大会計事務所PwCのブロックチェーン専門家アレックス・デヴリエス氏は、再生可能エネルギーはビットコインの持続可能性を解決することはできないという研究結果を発表している

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版