仮想通貨業界のかつての巨頭2人が、米国で服役することになった。だがその刑期は大幅に異なるものとなった。
FTX元CEOのサム・バンクマン-フリード氏(通称SBF)とバイナンス元CEOチャンポン・ジャオ氏(通称CZ)の2人は、ともに有罪判決を受けたが、その刑期は大きく異なった。バンクマン-フリード氏は懲役25年、ジャオ氏は懲役4か月だ。なぜこれほどまでに異なる扱いを受けたのか、仮想通貨業界の中で議論となっている。バンクマン-フリード氏は50代になるまで刑務所にいる可能性があり、ジャオ氏は年内には出所する。
バンクマン-フリード氏は2022年に逮捕され、米国に引き渡された。同氏は無罪を主張していたが、6週間の裁判を経て有罪判決を受け、25年の刑に服することになった。ジャオ氏は2023年に起訴されたが、有罪を認めた上で保釈されていた。今回4か月の刑を言い渡され、数日内に自ら出頭する予定だ。
バンクマン-フリード氏は投資家への詐欺と顧客資金の不正使用など7つの罪状で起訴された。一方、CZ氏はバイナンスでの有効なマネーロンダリング防止プログラムの維持に失敗したという1つの罪に問われた。
「CZ氏が起訴された犯罪は、規制違反に近いものであり、バイナンスで十分なマネーロンダリング対策のシステムを持っていなかったことに関するものだが、SBF氏はFTXを使って数十億ドルの仮想通貨を秘密裏に奪い、アラメダを支えるために電信詐欺を行ったとして起訴された」と、元連邦検事補のマーク・ビニ氏はコインテレグラフに語った。「どちらの犯罪も重大だが、SBF氏の犯罪の方が遥かに重大だ」。

裁判が始まって以来、バンクマン-フリード氏とその弁護団は、彼が「正しいと思ったことをした」と主張している。判決公判で、ルイス・カプラン判事はバンクマン-フリード氏が証言台で嘘をついており、言い逃れをしていたと評した。25年の判決を受けた後の最初のインタビューでSBF氏は「自分の行動が違法だとは思わなかった」と繰り返した。
裁判で提示された事実はSBF氏の弁護を覆した。元恋人でアラメダ・リサーチのCEOだったキャロライン・エリソン氏を含む多くの検察側の証人は、彼がFTXユーザーの資金の不正使用を指揮したことを示唆している。
対照的に、ジャオ氏は2023年11月に有罪を認めた後、米国当局とバイナンスの間の事件について公にコメントしていない。彼の裁判では、業界リーダーや家族など多くの人々から情状酌量を求める手紙が数百ページにわたって提出された。リチャード・ジョーンズ判事はCZ氏の判決公判で支援の多さに言及し、「自身の純資産をバイナンスのために危険にさらした」とコメントした。
「私は彼がもっと多くの罪に問われるべきだと考えているが、証拠がなかったため司法省はCZ氏に軽い罪を認めさせることしかできなかった」とスワン・ビットコインのマネージング・ディレクター、テレンス・ヤン氏はコインテレグラフに語った。「SBFとは異なり、CZ氏は引き渡しを争わず(引き渡し不能国にいた)、司法取引で軽い罪を認めることに同意した。CZ氏は司法取引で司法省に5000万ドルしか支払っていない」。
多くの仮想通貨ユーザーの憶測にもかかわらず、CZ氏とSBF氏が服役中に同じ刑務所に入るかどうかは疑わしい。SBF氏の場合はサンフランシスコ湾岸地域の刑務所で服役すると言われているが、上訴中はニューヨークの拘置所に留まるかもしれない。ジャオ氏はオレゴン州の連邦矯正施設かワシントン州の連邦拘置所で4か月を過ごすと予想されている。