仮想通貨史上最大の出資金詐欺と言われるプラストークンについてブロックチェーン分析企業のチェイナリシスがレポートを発表し、ビットコイン価格に影響を与えた可能性があると結論づけた。

中国発のプロジェクトであるプラストークンは、弱気相場の中でも複数の仮想通貨間で裁定取引を行うことなどで毎月8%~16%の投資収益率(ROI)が見込めると約束していた。ビットコイン、イーサXRPビットコインキャッシュライトコインドージコインダッシュ、プラスコインが預けられたという。

プラストークンへの参加資金は、最低500ドル(約5万3000円)。利用者を勧誘することでお金を受け取れる仕組みで、サイファートレースは「典型的なピラミッドスキーム」指摘。最大29億ドル(約3000億円)という過去最大の損失が出た可能性があると伝えていた。

チェイナリシスは、16日にプラストークンに関する独自分析レポートを発表。被害はプラストークン利用者だけでなく、相場全体に及んだという見方を示した。

チェイナリシスは、被害者からプラストークンのウォレットに流れた18万BTC、640万ETH、11万1000USDT、53OMGの総額約20億ドル(約2180億円)を分析。そのうち、約80万ETHと4万5000BTCに関しては「確実に資金洗浄目的で自分たちのアドレスに移した」と指摘。80万ETHのうち1万ETHはすでに現金化されており、ビットコインはより複雑な状況になっているが、約2万5000BTCが現金化。残りの2万BTCは8700以上に上る仮想通貨アドレスに分散されているという。

チェイナリシスは、「詐欺師たちが資金の移動をごまかすために高いレベルで努力をしている証拠」と分析。コインジョインを採用するウォレット「ワサビウォレット」などを使って資金の追跡を困難にしようとしているとみている。

ビットコインへの影響

チェイナリシスによると、プラストークンの詐欺師たちはビットコインを中国系の取引所フォビなどのOTC(店頭)取引で現金化していると指摘。今までにOTCを通して現金化されたビットコインは、少なくとも1億8500万ドル(約200億円)にのぼるという。

チェイナリシスは、因果関係とは言えないまでも、プラストークンの詐欺師たちによる現金化とビットコイン下落には相関関係があると指摘した。

(出典:Chainalysis「プラストークンの現金化とビットコイン価格」)

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