イーサリアム(ETH)2.0は最近ビーコンチェーンを起動させ、何年にもわたるスケーリング作業の「フェーズ0」を終了させた。仮想通貨レンディング企業セルシウスの創業者兼CEOのアレックス・マシンスキー氏は、ETHネットワークが迅速に拡張されない場合、ネットワークがスポットライトを失う可能性があると考えている。

ビーコンチェーン立ち上げ後のETH2.0の次のハードルについて尋ねると、「イーサリアムは、セキュリテイや分散化を損なうことなく、トランザクションを100倍に拡張できることを証明する必要がある」とマシンスキー氏はコインテレグラフに語った。

さらに「スケーリングに失敗した場合、カルダノやポルカドットが引き継ぐことになるだろう」と付け加えた。

Blockchairのデータによると、12月3日の時点でイーサリアムネットワークは1秒あたり約13のトランザクションをホストしている。これが100倍ということになれば、約1300TPSということになる(TPSは1秒あたりのトランザクション)。

イーサリアムは過去数年間にわたり、分散型アプリケーションを構築するためのネットワークとして機能してきた。2020年には分散型金融(DeFi)ブームがイーサリアムを中心に発生した。このアクティブティ急増により、ネットワークトラフィックが高くなり、ガス手数料が高騰する事態にもなった。これは、以前から繰り返されているスケーリング問題の再燃だ。

イーサリアム2.0においてプルーフ・オブ・ステーク(PoS)アルゴリズムに移行することで、スケーリングの改善が進むと期待されている。

イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は以前、ネットワークは10万TPSまで拡張できると主張していた

ただし、ネットワークのアップグレードは長期にわたるプロセスになりそうだ。MyEhterWalletの創業者は、ETH2.0の次のフェーズが完全に実行されるまでに数年はかかると予想している。マシンスキー氏は、具体的な期間について言及しなかったが、ネットワーク全体のアップグレードには楽観的にみていると述べた。

「すべてのバグを解決してスケーリングすることは予想以上に時間がかかるにしても、私はETH2.0を信じている」と、彼は述べた。

記事執筆時点でETH価格は約590ドルとなっているが、イーサリアムのアップグレードは価格にも影響を及ぼす可能性がある。フェーズ0でステーキングに参加するには、参加者は少なくとも32ETHをロックさせる必要があり、ビーコンチェーン立ち上げには52万4288ETHが必要だった。ロックされたETHはフェーズ2になるまで引き出すことはできないため、数年間はロックされたままになるかもしれない。

その結果、マシンスキー氏はETH価格が高騰する可能性があると指摘する。

「ますます多くのETHがETH2.0にロックされたり、様々なDeFiやCeFiプラットフォームで使用されたりするにつれて、これらのプラットフォームに参加する必要性と希少性の影響により、価格が上昇するだろう。ほとんどすべてのDEX取引所はETH建てであり、これはイーサリアムにとって大きな利点だ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン