ベテラン投資家でありアーク・インベストのCEOであるキャシー・ウッド氏は、弱気相場にもかかわらず、仮想通貨業界と集中型取引所(CEX)に強気な姿勢を崩していないようだ。

ウッド氏の投資顧問会社アークは、米国の大手仮想通貨取引所コインベースの株式を買い増している。

アークは1月5日、同社の金融技術に特化したファンド「ARKフィンテック・イノベーションETF(ARKF)」への割当のため、コインベース(COIN)株を14万4463株購入した。記事執筆時点では480万ドル相当の購入になる。

また同日、アークはインターネット技術に特化したファンド「ARKネクスト・ジェネレーション・インターネットETF(ARKW)」に割り当てるCOIN株を27,813株(90万ドル)購入した。両ファンドを合わせると、合計570万ドル相当のコインベース株を追加したことになる。

2019年に開始されたARKFは、金融サービスや経済取引をテクノロジー・インフラ・プラットフォームに変革していると考える企業の株式証券に投資している。コインベースは同ファンドの最大保有銘柄の一つで、総資産の7.7%を占めている。

ARKWは、ARKの投資テーマである次世代インターネットに関連する企業の株式にフォーカスしている。ARKWは2014年に運用を開始した古いファンドである。1月5日現在、グレイスケール・ビットコイン・トラストとコインベースがARKWの保有銘柄トップ10に入っており、全資産の5.4%と4.8%を占めている

TradingViewのデータによると、両ファンドは前年比で50%以上の価値を失っており、これは現在進行中の仮想通貨の弱気市場と一致する。

ARK Fintech Innovation ETF one-year price chart. Source: TradingView

ARKの資金が約50%下落したのに対し、コインベース株は昨年から約87%急落している。ARKは以前から下値で積極的に買っていたため、今回のCOIN株購入は同社の新たな強気の動きを示すものだ。2022年11月、FTXの破綻に端を発した乱高下相場にもかかわらず、ARKはコインベース株を1210万ドル(約12億円)買い付けた。11月下旬の時点で、ARKのCOIN保有総額は870万枚とほぼ過去最高水準に達している。