米国の資産運用会社カナリー・キャピタルが、トロン・ブロックチェーンのネイティブトークンであるトロン(TRX)を保有する上場投資信託(ETF)の申請を行った。
米証券取引委員会(SEC)への申請文書によれば、このETFは現物のTRXを保有し、その一部をステーキングして追加の利回りを得る構成を取る予定だ。
コインマーケットキャップによると、TRXの時価総額は220億ドルを超えており、Stakingrewards.comのデータでは、TRXのステーキング利回りは年率約4.5%とされている。
今回の申請は、いわゆるアルトコインを保有するETFの申請ラッシュの一環だが、カナリーのファンドは初期申請時点でステーキングを含めている点で、他の申請と一線を画している。イーサリアムのネイティブトークンであるイーサ(ETH)を保有するETFは、現物ETFの上場後にステーキングの承認を求める動きを見せているが、いずれもまだ正式な認可を得ていない。
トロンは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)型のブロックチェーンで、創設者はジャスティン・サン氏だ。サン氏はまた、Bittorrentの開発元であるRainberry(旧社名Bittorrent)の所有者でもある。
2023年3月には、SECがサン氏に対して、トロンとBitTorrentのトークンであるBTTの価格を不正に吊り上げたとして提訴している。2024年2月、SECとサン氏は、同訴訟を一時停止し、和解交渉に入ることを裁判所に申し入れている。
アルトコインETFの時代到来か?
2025年1月のトランプ大統領就任以降、米国では仮想通貨関連の投資商品に関する申請が相次いでいる。
これには、ソラナ(SOL)などのレイヤー1トークンを保有するETFや、トランプ氏の公式ミームコイン「オフィシャル・トランプ(TRUMP)」を対象としたETFもある。
カナリー・キャピタルは2024年以降、ライトコイン(LTC)、XRP(XRP)、ヘデラ(HBAR)、アクセラー(AXL)、ペングー(PENGU)、スイ(SUI)などを対象としたETFを申請している。
一方で、こうしたアルトコインを保有するETFが伝統的な投資家に広く受け入れられるかについては懐疑的な見方も根強い。
仮想通貨リサーチャーのアレックス・クルーガー氏は3月、「ほとんどの仮想通貨ETFは資産を集められず、発行者に損失をもたらすだろう」とXで予想している。