カンボジア国立銀行(NBC)は、ソラミツが開発するブロックチェーンベースのバコン決済システムを活用した観光客向けアプリ「バコンツーリスト」を導入した。このアプリは、中国のユニオンペイシステムやタイ、ベトナム、ラオスでも利用できるようになる予定だ。

カンボジアには、1,680万人の人口に対して、わずか55,000のPOS(販売時点情報管理)システムしか存在しない。クレジットカードはPOSがなければ利用できず、現金を引き出すためのATMは国内に5,600台しかない。バコンアプリを利用すれば、QRコードで330万箇所での購入が可能となるという。

バコンで利便性向上

バコンツーリストは、購入だけでなく、送金や受取、銀行口座への資金預け入れ、取引履歴の追跡、米ドルとカンボジアリエルの間での換金も可能にする。利用者は、1日の利用限度額が500ドルに設定されているが、KYC(顧客確認)手続きを経れば3,000ドルに引き上げることができる。KYCには、写真とパスポートのコピーが必要となる。

アプリはGoogleやAppleのストアからダウンロード可能で、利用者はメールで登録し、銀行やホテル、旅行代理店などのパートナーを通じてバコンアカウントに資金を追加することができる。NBC総裁のチア・セレイ氏は、バコンツーリストアカウントを国際決済カードとリンクさせるために、国際決済会社と合意を結ぶことを検討していると述べた。

マレーシアとの合意は8月末に、韓国との合意は9月に予定されており、これにより両国の利用者は国内アカウントをバコンツーリストにリンクできるようになるという。

ソラミツの拡大する地域決済のビジョン

NBCは、2020年に日本のブロックチェーン企業ソラミツと提携してバコンを導入した。バコンシステムは、2023年に概念実証として導入されたラオスの中央銀行デジタル通貨(CBDC)「ディラク」のモデルとしても使用された。

また、バコンは、インド、中国、フィジー、ソロモン諸島、および既にバコンが導入されている国々を含む地域決済システムの基盤としても構想されていた。ソラミツは、ソロモン諸島のCBDC「ボコロキャッシュ」の概念実証や、フィジー準備銀行によるCBDCの研究に支援を提供している。

Bakong Tourists download instructions. Source: National Bank of Cambodia