マイニングハードウェアの効率化に伴い、1ビットコイン(BTC)の採掘コストは10カ月ぶりの低水準となり、難易度は5月のピークから6.7%低下した。

JPモルガンのストラテジストのニコラオス・パニギルツォグロウ氏は13日、ビットコインの生産コストは6月初めの2万4000ドルから1万3000ドル程度に低下していると指摘している。

同氏によると、これは2021年9月以来の低さで、採掘難易度が5月の最高値31.25Tから29.15Tに低下していることを受けてのことだという。

ビットコインの生産コストの低下は、マイナーの売り圧力を緩和し、収益性を改善する可能性がある。しかし、ブルームバーグによると、パニギルツォグロウ氏は「生産コストの低下は、今後のビットコイン価格の見通しにとってマイナスと受け止められるかもしれない」と述べ、依然として弱気な姿勢を崩していない。

さらに、この生産コストは弱気相場におけるBTC価格帯の下限と認識されていると一部のアナリストは付け加えている。一部のアナリストは、BTC価格が1万3000ドル前後まで下落すると予測しており、これは過去2回の弱気相場における80%以上の下落率と一致する。ビットコインは現在、昨年11月の史上最高値から約70%下落している。

ビットコインの生産コストは、2021年4月と11月の価格ピーク直後にピークを迎え、市場の動きに合わせて反落している。生産コストとBTC価格とは相関関係がみられるが、価格変動には遅れをとっている。

生産コストの低下は、電力消費量の減少につながっているようだ。

ケンブリッジ大学のビットコインエネルギー消費指数では、現在、ネットワークの1日の推定電力需要は9.59ギガワットであると報告されている。これは過去1カ月間で33%の減少となっており、2022年のピーク需要から40%減少している。

Source: Cambridge University

また、エネルギー価格の高騰やBTC価格の下落により採算が合わなくなったため、旧式で効率の悪いマイニング装置を停止させているマイナーも相当数いる。

一方、マイニング企業は、世界的なエネルギー価格の上昇とBTC価格の暴落という二重苦に見舞われている。これにより、マイニングの収益性は年初から63%も低迷している。Bitinfochartsによると、採掘収益性は現在2020年10月以来の低水準にある。