イングランド銀行金融政策委員会の外部委員キャロリン・ウィルキンス氏は19日、仮想通貨分野における規制とガバナンスの欠如は、ビジネスにとって障害であり、ユーザーにとっては保護の欠如である以上に、存亡の危機であると述べた。さらに分散型金融(DeFi)については、「身辺整理を始めるのに適した時期だろう」と批判した。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのブロックチェーン技術センターで講演したウィルキンス氏は、英国の金融規制当局である金融行動監視機構に寄せられる詐欺に関する苦情で最も多いのが仮想通貨に関するものだという。投資家はその金融リスクに加え、風評リスクも懸念しており、ウィルキンス氏によれば、それはDeFiに多く存在するとした。

ウィルキンス氏は、DeFiにおける「クジラ」への権力集中をリスクの源泉と見ている。プルーフ・オブ・ステークを採用したプラットフォームの時価総額上位10社では、上位50のバリデータが47%から100%のシェアを保有していると、同氏は観察している。同時に、説明責任に関する透明性が欠如しているとした。

"私たちは、本質的に不確実な世界に生きている。つまり、あらゆる状況に対応するスマートコントラクトのセットはあり得ず、想定外の事態が発生した場合には、中央集権的な意思決定が常に必要となる"

しかし、その中央集権的な意思決定がいつ必要なのか、誰がそれを実行するのかは必ずしも明らかではないだろう。規制された伝統的な金融もブロックチェーン技術を採用しつつあり、仮想通貨セクターの市場シェアの一部を狙う可能性があるため、仮想通貨は迅速に形を整える必要がある。ウィルキンス氏は次のように語っている。

「伝統的な金融の規制対象企業は、基礎となるブロックチェーン技術を伝統的な資本市場に適用しつつある。彼らは、より身近で戦いに慣れたガバナンスを持っているという理由だけで、この市場を獲得するのに有利な立場になるだろう」

ウィルキンス氏は、JPモルガンのOnyxブロックチェーン取引ネットワークとHQLAX担保管理プラットフォームを、DeFiにとって脅威の例として指摘した。