Blockchain.infoによれば、一日あたり12,000件超の新たなウォレット登録者を生み出しているといいます。2020年までに1億ユーザーを超えるといわれ、トレンドチャートは放物線状にカーブを描いています。しかしこのデータはどこまで信用できるものなのでしょうか?

 

2011年に設立されたBlockchain.infoは、ビットコイン市場において最も古い企業の一つで、Coinbaseと共にBlockchain.infoのウォレットは最も利用されているビットコインウォレットの一つです。ブロックチェーンのチャートページはソースとして優れたデータが集められており、市場の大半のデータを反映していて、先月そのチャートの描くカーブの勢いがさらに増しました。現在Blockchain.infoだけで1日あたり12,000件近くの新規ウォレット登録がされていて、BTCCのCEOであるBobby Lee氏もそれに近い数だと認めています。一体その数字が何を意味するのか確認してみましょう。

 

ビットコインの7年間

2015年という年は、ビットコインが生まれてから7年目を迎える年でした。そしてその年が今終わりを迎えようとしています。ビットコインのジェネシスブロックが発掘されたのは2009年の1月3日のことでした。今年は、200ドルから300ドルの間を価格が変動するなど、ビットコインによる取引の数は依然伸び続けていますし、過去3か月と比べると2倍以上取引の数は増えています。本当に様々な出来事が起こった年でしたが、最も興味深いトレンドの一つとして、新しいウォレットが日々増々開通されているという点があげられます。間違いなく、ビットコインを導入するに至るさらに優れた指標が見つかることでしょう。

しかしそれは信頼できるものなのでしょうか?また、本当に利用されているウォレットの実数はどれだけあるのでしょうか?

 

2020年までに登録数が1億を超える

以下のグラフをご覧ください。青い線はBlockchain.infoのマイウォレットページから引用された実際のデータです。オレンジの線は実際のトレンドと今後の予測を示しています。

現時点では、500万近いウォレットが開設されていることがわかります。

 

マウントゴックスの一件でその数が一端クリアされてしまってからは、主要なメディアで様々に報じられてしましたが、グラフは確実に等比数列的に伸び続けています。

実際にこういったトレンドが続いた場合、2020年までに開通されるウォレットの数は1億に到達するだろうと言われていますし、ビットコインがメインストリーム入りする日は人々が想像する以上に近いと言われています。そして、1億を超えるそのウォレット登録数を誇るのは、最も巨大な、Blockchain.infoたった一つのサービスのみなのです。Coinbaseのウォレットや様々な他のサービスを利用し、ビットコインクライアントやスマホアプリをインストールするとなれば、2020までに1億、という数字もちっぽけなものに見えてきます。

しかしこういったウォレットは現実の人々にどのような関係があるのでしょうか?

 

2015年はただの通過点で、これからまだまだ様々なことが起きる

コインテレグラフは、今回Bitcoin.comのスーパーバイザーで、Blockchain.infoのエンジェルインベスターでもあるRoger Ver氏にインタビューを敢行しました。誰がビットコインの歴史の生き証人となることができるのか、そして彼の未来のビットコイン像や、今回のこのトレンドがメインストリーム入りの最終マークとなるのかどうか伺いました。

 

コインテレグラフ (以下CT): 毎日12,000もの新しいウォレットが登録されていることについてはどうお考えですか?Blockchain.infoのウォレットチャートによれば、2020年までには1億ものウォレットが開通されると言われています。ビットコインは多くの人が考えるよりも早く限界に達してしまうのではないかと思うのですが。

 

Roger Ver氏 (以下RV): 一日に12,000ものウォレットが開通されているというのは驚異的ですが、私たちはそれよりもさらに早く成長してかなければなりません。もしあなたがこの記事を読んでいて、ビットコインのファンで、これが世界にもたらされる好意的な変化だと捉えているのあれば、新年を迎えた門出に、友達や家族にビットコインウォレットを開通してあげて、Purse.ioやFoldapp.comの使い方を教えてあげてください。

 

CT: 確かにこのトレンドに対して私自身好意的に捉えていますが、しかしそれにしてもこの数字は少し現実離れしすぎています。フォーラムなどでもビットコインについての話題が増えたとは感じませんし、もしこの数が事実なのであれば何かしらの影響があってもいいと思います。複数のアカウントを開設する人がかなりの数いるのでしょうか?個人が複数アカウントを開設しているかどうかチェックする方法はあるのでしょうか、例えばアカウントの新規開設の際にIPアドレスをチェックする、などのような。ブロックチェーン上でそういったことは行われているのでしょうか。

 

RV: 確かにたくさんの人が複数アカウントを開設してると思います。しかし同時に、数千から数万人の新規ユーザーが毎日ビットコインウォレット用のアカウントを開設していることも確かです。

Purse.ioを利用すると何故、Amazonでの買い物が全て20%になるのか、foldapp.comのおかげで何故、スターバックスを20%オフで利用できるのか、などの理由を知っていれば、毎日1万人の新規アカウント開通者がいなかったとすれば、そちらの方が驚きです。

CT: 個人が複数アカウントを開通することは何か理由があるのでしょうか?そうすることで何か恩恵が受けられるのですか?

 

RV: 複数の銀行口座を持っているように、複数のビットコインウォレットを持っている人はたくさんいると思います。普通のことではないでしょうか。

 

CT: このウェブサイトによると、ビットコインウォレットの利用数について興味深い調査がされています。膨大な数のウォレットは1人のユーザーによって1つのウォレットが利用されているのではなく、ウォレットをシャッフルする目的や、マネーロンダリング、そしてコインのミックスなどの目的で利用されている、というものです。これについてはどうお考えですか?

 

RV: このチャートはもっと有益なデータを示したものだと思います。

 

手数料は、現実の人々が実際にビットコインを利用するために支払う実際のお金です。

 

私たちは、過去二年間のこういった指標からも、100倍もの成長を遂げる分野があるということを知ってしまったのです。

現在、手数料は一日、約100ドルから1万ドルまでと幅広いです。

もし現実にいる人々が、実際の商品を購入するためにビットコインを利用していないのだとしたら、日々当たり前に手続きの度に毎回1万ドルを支払うなどということがあるでしょうか。

 

CT: 最近、ビットコインの80%は中国元で購入されているという記事を読みました。察するに、中国国内の人々が、中国から資本が流出するのを防ごうとする中国政府の規制から逃れるためにビットコインを購入しているのではないでしょうか。何かそういった政治的要因は考えられませんか?

 

RV: 私の希望としては、自分以外の人間を支配しようとするような、独裁的な人の手によって支配された有害な経済支配から逃れ、それぞれの個人の意思が尊重されるようにビットコインは使われて欲しいと思っています。

もしこういったことが今中国の人々によって起こされているのだとしたら、私は彼らを応援したいです。

 

CT: これにはもう一つの重要な意味合いがあります。あなたもよくご存じであるように、中国政府は金融機関や銀行などがビットコインによる取引をすることを禁じました。しかし、個人は自由に取引することが出来るのです。銀行によるビットコイン売買が禁止されている国内で、国民がビットコインを購入しているという事実、これはうまくいっていると言えるのでしょうか?確かに国民たちはビットコインを購入しているかもしれませんが、彼らは銀行がそれを中国元に換金するつもりがないことなど気にしていません。彼らは誰かがビットコインを買い戻してくれることを知っているのです。銀行は既にその力を失っていますが、国民たちはビットコインに価値があると考えています。私はこういったことが現在中国で起きているということに、とても強力な隠れた意味合いがあると思っています―ビットコインは、既に人々が政府の拘束から逃れることを可能にしてしまっているのではないでしょうか。

 

RV: 確かにその通りだと思います。ビットコインが、政府の支配から逃れることが出来るような手段としてより便利になることで、人々の目には、さらに利用したいとより魅力的に映るようになるでしょう。

 

私たちの眼前に今広がっているのは、まさに自己強化サイクルそのものです。

2016年はビットコインにとって最もエキサイティングな年となることでしょう。