新規のブロックチェーンプロジェクト「Shivom」は、個人が自身のゲノムデータを研究に「寄付」することができるプラットフォームの提供を目指すプロジェクトだ。ゲノムデータの安全な保管やアクセス権限の管理が可能で、結果として報酬が受け取れる。

 人間のゲノムについては、数十年に渡って科学研究が集中的に行われている。03年にはじめて全配列が解読されて以来、多くの企業が個人向け医療への応用の可能性を探り始めた。つまり、一人ひとりのニーズに合わせた医療だ。ゲノムデータへのアクセスは、カスタマイズされた医療をさらに追求するために研究者が欲してやまないものである。

 Shivomは説明要旨のなかで、世界最大のゲノムデータハブを創設することが目標であると宣言。ゲノムを解読・保管することを選択した一人ひとりがアクセス権限を管理することになり、情報を研究者と共有して最終的に報酬を受け取る機会が与えられる。さらに、遺伝子検査キットをデータ提供者へ販売することもShivomのビジネスプランに含まれているようだ。

 Shivomエコシステムのメンバーは、「医療サービス提供者がアプリやサービス、それにゲノムデータ分析や個人向け医療を展開するオープンな市場」にアクセスすることができる。第三者に販売されるデータについては堅牢なブロックチェーンセキュリティが施され(第三者のアクセスには二重のプライベートキーが必要)、売却後もドナーが情報のアクセス権限を管理できる。その結果、研究成果として自身の健康に関する情報を受けることができ、さらに報酬も受け取れる。また、ある患者の疾病リスクを評価・予測したり、表面上は健康な患者の予防策などが考えられる。

 このエコシステムの成果により、ゲノム医療研究が多方面で前進する可能性がある。例えばデータは臨床試験に応用できるし、薬剤の研究・開発で広く使用することも考えられる。Shivomは、完全に統合された単体のサービスシステムを目指して、「ゲノムカウンセラー」や関連研究機関の世界的なネットワークの創出に取り組んでいく。患者や病院、研究センター、政府を含む医療ケアの複数の利害関係者をつなぐ、非営利的な研究開発組織を立ち上げることも目指している。

 研究者が世界各地で使えるゲノムデータが増えるほど、新薬の開発が加速され、資源を無駄にすることなく効率的に疾病の特定・治療が可能となる。このようなデータがあれば、患者の小集団が特定の治療にどう反応するか、研究者が予測精度を高めることが可能となり、臨床試験で時間や資金を有効に活用することができるようになる。

 Shivomエコシステムを支えるのはOmiXトークンだ。トークン所有者はデータ提供に対する報酬やゲノムデータベースへのアクセス、遺伝子検査キットを受け取ることができる。Shivomによれば、OmiXトークンのプライベートセールは現在進行中で、プレセールの予定も間もなく発表される。

 Shivomの共同創業者兼CEOはアレックス・シューマッハ博士で、20年以上に渡って優れたデータ研究を行っている。ブロックチェーン総合研究所の教授陣にも名を連ねる人物だ。同じく共同創業者のグーリッシュ・シングラCOOは、Shivomと他の類似プロジェクトとの違いについて以下のように説明している

(Shivomは)深遠なビジネスとデータプライバシーのモデルにより、ゲノミクスとブロックチェーン医療ケアの空間全体において競合プロジェクトとは一線を画している。Shivomの包括的なビジネスモデルではゲーム理論やネットワーク効果を利用し、完全に一体化した医療ケアサービスシステムを確立する。長期の持続性を有し、データ使用に課金することでユーザーにデータをマネタイズできる機会を提供する。

 他企業との提携に関しては、Shivomは最近DeHedgeの支援を取り付けた。DeHedgeは、トークンオファーや仮想通貨の資金を守りたい投資家のためのリスクヘッジプラットフォームだ。また、NASDAQ上場の分子診断会社「ジェネティック・テクノロジーズ」とも提携している。先日はインドのアンドラ・プラデシュ州政府とのプロジェクトも発表され、州の6000万人の住民へのアクセスを手にした。さらに、同国最大級のがん研究施設での試験プロジェクトも開始される。

 Shivomは今年第2四半期までにPoC(概念実証)製品をリリースし、「Shivom財団」を創設することを目標としている。第3四半期には、大手のデータ分析会社や製薬会社との提携も見据えている。長期的な目標としては、来年までにShivom AI/深層学習プラットフォームの立ち上げを目指す。

 


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