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ブロックチェーンの断片化 ト―クン化資産市場で年13億ドルの経済的損失=レポート

ブロックチェーンの断片化 ト―クン化資産市場で年13億ドルの経済的損失=レポート
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ブロックチェーンネットワークの断片化が、トークン化資産市場に年間最大13億ドルの経済的損失をもたらしているとする分析結果が明らかになった。

現実世界資産(RWA)データ提供企業RWA.ioのレポートは、ブロックチェーンがイノベーションを加速させた一方、ネットワークごとに流動性を閉じ込め、資本の自由な移動を妨げる「壁」を生み出していると指摘した。

その結果、トークン化されたRWAは単一の金融市場ではなく、互いに断絶した市場のように振る舞い始めているという。レポートでは、同一または経済的に等価な資産がチェーンごとに異なる価格で取引され、ネットワーク間の資本移動は依然として高コストかつ複雑なままであると指摘した。

研究者らは、こうした非効率性が本来市場の歪みを正す役割を持つ裁定取引(アービトラージ)を阻害し、効率的な価格形成を妨げていると述べた。

「この断片化こそが、市場が数兆ドル規模の潜在力を発揮できない最大の障害だ」と、RWA.ioの共同創業者兼COOのマルコ・ヴィドリヒ氏は述べた。

「伝統的金融では、EU全域のSEPAインスタント即時決済が示すように、価値は数秒で口座間を移動できる。トークン化資産も本来それと同じくらい摩擦がなくあるべきだ」とヴィドリヒ氏は続けた。

2020年から2025年までのRWA市場の成長 Source: RWA.io

チェーン断片化が生む価格の歪みと資本コスト

レポートは、断片化の最も顕著な結果として同一資産が異なるチェーン間で恒常的な価格乖離が生じていると指摘する。

経済的に同一のトークン化資産が主要ブロックチェーン上で1〜3%のスプレッドで取引されるケースが多いという。伝統的金融であれば、裁定取引が即座にこうした価格差を解消するはずだ。

しかし、レポートは「技術的ハードル、手数料、遅延、運用リスク」によりクロスチェーン裁定取引は実質的に不可能だと指摘する。資産移動にかかるコストが価格差を上回ることが多く、非効率が放置される構図になっている。

さらにRWA.ioは、互換性のないチェーン間で資本を移動する際、1回の取引あたり2〜5%の損失が発生すると試算した。為替手数料、スリッページ、送金コスト、ガス代、タイミングリスクなどが要因だ。総じて、資本再配置1回あたり平均3.5%の価値が失われるという。

こうした断片化が続く場合、市場全体では年間6億〜13億ドルが失われる可能性があるとレポートは推計した。

市場断片化による経済的コスト Source: RWA.io

RWA.ioは、トークン化RWA市場が2030年までに16兆〜30兆ドル規模に成長すると見込む一方、現在の非効率性が続けば年間300億〜750億ドルの価値が失われるリスクがあると警告した。

非効率にもかかわらずトークン化資産は拡大

非効率性が指摘される一方で、トークン化資産は依然として仮想通貨企業や伝統的金融機関の両方から注目を集めている。

RWA企業セキュリタイズは火曜日、法令準拠のオンチェーン株式取引を開始する計画を発表した

また木曜日には、仮想通貨取引所コインベースが株式取引機能を導入し、アプリ上から株式へ直接投資できるようにした。

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