現在Runa Capital Principalに務める前Coinbase職員、Nick Tomaino氏が最近、ブロックチェーン関連組織とそのプロジェクトが、ベンチャーキャピタルや投資家による初期投資よりもICOによって2.4倍も多く資金を集めていることを明らかにした。

過去12ヶ月で、ベンチャーキャピタルや投資家による初期投資で資金を集めたブロックチェーンプロジェクトは、たった1億4,000万ドル程度しか資金調達できていないのに対し、ICOを通じた資金調達を行ったブロックチェーン関連プロジェクトは、3億3,100万ドル以上の資金調達に成功している。

概念的には、ICOは企業、スタートアップや組織などが仲介者なしに資金を集めることが出来る驚異的且つ革命的な方法だ。サードパーティのサービスプロバイダーが介入することで必然的にコストが高く付き、結果決済が送れることはままある。透明性を保ち、安全にビットコインのような暗号通貨を通じて誰でもICOによりトークンを購入することが可能になるのは画期的だ。

確かに、ICO市場にはバブルが形成されている。市場全体が過度に宣伝されており、2レイヤーによる小額決済を可能にするソリューションLightningの共同創設者で前スタンフォード大学の教授、エリザベス・スターク氏は実際には低レベルな開発しか進んでいないのにも関わらず、資金稼ぎばかりに目がいっているスタートアップが多く存在するという事実が、ICOによりしばしば露呈しがちだと語る

「ICOの問題は―誰もがお金を手に入れることが出来、誰も苦労をする気がないということです。IPOに関して言えば、”年単位”の努力が必要です。市場はテストを重ね、それを証明してきました。少数だけが生き残り、大半は失敗する―しかし今は最早そうではないのです」

例えばイーサリアムを利用した分散型予測市場であるGnosisは、ICOを通じて数百万ドルの資金調達に成功しているが、当時まだベータ開発の段階にすら行っていなかったプロジェクトに対して3億ドルの価値はあると評価され、投資家たちによって1,250万ドルがつぎ込まれた事実がある。端的に言えば、ベータテストすら成功していないプラットフォームであっても、投資家たちによって3億ドルの評価額が付けられる可能性があるということだ。

Gnosisのチームクレジットには、サードパーティの開発者や企業向けのGnosis,js開発ライブラリなどを含む2つのPOCが掲げられている。究極的には、Gnosisは、Gnosisのプロトコルを利用して投資家が目をつけそうな柔軟なネットワークやアプリケーションプラットフォームが建てられる分散型アプリケーション(DAPPS)プラットフォームのローンチを目指しているのだろう。

しかし、ICOは投資家に対して短期間での投資を強いる性質がある。Gnosisが巨額の評価額を得たのは、ICO自体がたった10分で終わってしまったことに起因する可能性がある。

イーサリアム財団のメンバーの一人、ジェイミー・ピッツ氏は次のように書いている

「人間の行動に目を光らせ、それに従った設計をしていれば、クラウドによるナレッジマネジメントはうまく行きます。鍵となる質問はこうです―Gnosisは意図的にこういった設計を行ったのか、それともFOMOの存在を彼らが知らなかったのだろうか、ということです」

買い手が投資状況に目を光らせていなければならないのは世の常だ。しかし、コミュニティとしての我々は、関連するものの全ての有用性ができるだけ高い、経済的、社会的環境を育むために努め、フェアではない略奪的状況を避けるために動くことが重要だ。

Gnosisは、ICOの性質によって過大評価されたプロジェクトの中でも数少ない正当なものの例の一つだ。その正当性は、イーサリアムの共同設立者であるヴィタリック・ブテリン氏や、予測市場投資家ロバート・ハンソン氏、スマートスポーツ賭博を運営するJason Trust氏などが参加した顧問委員会のみよって支持されている。ICOは、投資家とスタートアップどちらも儲けることができるよう設計されているため、深刻な経済の問題を孕んでいるということを留意しておくことは重要だ。