ブラックロックの現物ビットコイン上場投資信託(ETF)であるiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)に、過去2週間で最大規模の資金流入が確認された。急騰する仮想通貨に追随しようとする投資家が、米国のビットコインETFに資金を振り向けている。
同日のビットコイン(BTC)の新規採掘量が450BTCだったのに対し、IBITはそれをはるかに上回る4931BTCを買い入れた。
また、ETFトラッキングを行うXアカウントTrader Tによれば、IBITの同日の取引高は1月以来の最大規模を記録。ETFストアのネイト・ジェラシ社長は「取引高の状況から判断すると、この日の流入額はさらに拡大する可能性がある」とコメントしている。
この日、全11本の米国の現物ビットコインETFに対する総流入額は6億710万ドルで、うちフィディリティのワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(FBTC)が2350万ドルと2番手に付けた。
ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏は、これらのETFへの資金流入を「典型的な投資家の殺到」と表現。ビットコインが5月22日の早朝に11万2000ドルに迫る水準まで上昇したことが背景にあるとした。
バルチュナス氏はまた、ETFの取引高がこれほど急増したのは1月以来だとし、「すべてのビットコインETFが平均の2倍近いフローを記録するだろう」と予想している。
このような大規模な資金流入と出来高の急増は、ビットコインが5月21日の終盤に11万ドルを突破し、コインベースで11万1897ドルに迫る最高値を更新した直後に発生した。
ETF経由のビットコイン購入は今後も続く見通し
仮想通貨取引所BTSEのオペレーション責任者であるジェフ・メイ氏はコインテレグラフに対し、「投資家はビットコインETFに殺到しており、5月だけで純流入額は36億ドルに達している」と指摘した。
「企業が引き続き資本市場から資金を調達しようとする限り、この傾向は継続すると考えている。米連邦準備制度理事会(FRB)が近いうちに利下げに踏み切れば、資金流入はさらに加速する可能性もある」とメイ氏は述べた。
一方、ハッシュキーキャピタルのパートナーであるジュピター・ジェン氏は、「ビットコインが11万ドルを突破すれば、さらなる価格変動が起きる可能性がある」と予想。現在の市場を「未知の価格発見領域に突入した状態」とし、「不安定な地政学リスクやマクロ経済要因を受け、投資家はビットコインの長期的な価値を再評価し始めている」とコメントしている。