米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は、仮想通貨(暗号資産)デリバティブ取引所ビットメックスに対する最近の米政府当局による措置について、仮想通貨企業の目を覚まさせるものになる可能性があると考えている。ピアース氏は、仮想通貨・ブロックチェーン分野への友好的な姿勢から、仮想通貨業界からは「クリプトママ」との愛称でも呼ばれている。
10月13日に公開された「Unchained Podcast」のインタビューで、ピアース氏はホストのローラ・シン氏に、米司法省と商品先物取引委員会(CFTC)がビットメックスを起訴したことにより、仮想通貨業界に対して米国のマネーロンダリング対策(AML)規制(AML)と本人確認(KYC)の規制を知らしめることになったと述べている。
「メッセージはAML/KYCの面でかなり大きな声で明確に業界に届いていると思う。そして、それは続くと確信している」と、ピアース氏は語っている。
「製品やサービスで米国ユーザーがいると、米国の法律が適用されるというメッセージを仮想通貨業界に確実に送ったことになる」
10月1日、CFTCはAML規制に違反したとしてビットメックスとその幹部を訴追した。さらに米司法省は、銀行秘密法に違反したとして、共同創業者のアーサー・ヘイズ氏を含む幹部らを刑事告発した。ヘイズ氏ら幹部3人はこの記事執筆時点ではいまだ逃亡中であるが、元最高技術責任者であるサミュエル・リード氏は既に逮捕された上で保釈されている。
SECのピアース氏はまた、ビットコイン上場投資信託(ETF)に対するSECの態度についても語っている。そのような製品は、機関投資家が原資産を保有するリスクなしに仮想通貨にアクセスするための手段を提供すると考えられている。
バミューダの証券取引所は今年9月、ビットコインETFを承認したと発表したが、これはSECの管轄外だ。ウィンクルボス兄弟や、ウィルシャー・フェニックスなどは、過去にSECにビットコインETFを申請していたが、SECは相場操縦の懸念があるとして、それらを一貫して拒否している。
ただし、SECの中でも、ピアース氏は、ビットコインETFは機関投資家によって「独自のメリットで判断されるべき」だと考えている。同氏によると、ビットコインETFは投資家の間で大きな関心が持たれており、投資家が仮想通貨により簡単にアクセスできる方法になる可能性がある。
ピアース氏は、ビットコインETFに対するSECの抵抗は投資家にとってアンフェアであると批判している。
「過去には、(SECは)メリット規制アプローチを採用している。『投資家が自分で賢明な決定を下せるとは思わないので、それらの製品を投資家から完全に切り離すべきだ』という考えは、私にとってはナンセンスだ」
パース氏は今年8月にSEC委員として2期目を開始し、2025年までSEC委員となる。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン