「私が間違っていた」と認めたのは、英国の有名歴史家ニーアル・ファーガソン氏だけじゃないようだ。

伝説の投資家として知られるマーク・モビアス氏が、仮想通貨へのスタンスを変えた。

15日にブルームバーグのインタビューに答えたモビアス氏は、スムーズにプライベートで価値の移転を可能にする仮想通貨に対する世界的な需要が高まるだろうと発言。仮想通貨に対する以前からの慎重なスタンスを変えた。

「世界中の人々の中で、マネーを簡単に匿名で送金したいという需要は確かにある。こうした動きは、ビットコインや他のタイプの仮想通貨の後押しになるだろう」

ただ、モビアス氏自身は、ボラティリティ(変動幅)の高さを理由に仮想通貨への投資に対して二の足を踏んでいる。「それは違う話だ」とし、「最終的な責任を持つ個人やグループ、組織がいないこと」を理由にあげた。

モビアス氏は、新興国株への投資で名を馳せた投資家。かつては数十億ドル(数千億円)の資産を運用していた。2017年12月にはビットコインには価値がないという見方を示していた

仮想通貨の魅力として匿名性やプライバシーをあげる専門家は少なくない。

仮想通貨取引所ビットメックスのアーサー・ヘイズCEOは、「金融プライバシーが5年後になくなる」ことから、ビットコインへの需要が高まるだろうと予想している。

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一方、ビットコインの匿名性向上は、業界内でも大きな関心事の1つだ。「ビットコイン開発者のコミュニティーでは、スケーラビリティよりも取引の秘匿機能とプライバシー性能が大事だという強い共通認識がある」という見方も出ている。

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