マクロ経済環境に逆風が吹く中でも、ビットコイン(BTC)の富裕層の投資家や大口保有者は強気姿勢を維持しており、オンチェーンデータはその動きを裏付けている。
クジラが新規供給の3倍を吸収
オンチェーン分析プラットフォームのグラスノードによると、現在ビットコインの大口保有者は、年間発行量の300%以上のビットコインを市場から吸収している。
一方で、取引所からの年間吸収率はマイナス200%を下回っており、自己保管や長期保有を選好する投資家の増加を示している。
こうした傾向は、昨年承認された現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の影響もあり、伝統的金融の世界でBTCの受容が進んでいることを背景としている。供給が減少するなか、長期的な強気姿勢が大口保有者に広がっている。
各保有層が下落局面でBTCを買い増し
グラスノードのデータによれば、4月18日時点で1万BTC以上を保有するクジラ層は、依然として強い買いを示しており、その「トレンド蓄積スコア」は0.7に達している。このスコアは0(売り傾向)から1(買い傾向)までの範囲で保有者の行動を定量化するものだ。
一方、年初に売却を進めていた中小保有層(10~100BTCと1~10BTC)は現在スコアが0.5まで回復しており、中立的な状態に戻っている。
さらに、個人投資家に多い1BTC未満の層でも、強い売却傾向は見られなくなっており、全体として再び蓄積フェーズに入りつつあることがうかがえる。
オンチェーンアナリストのミニョレ氏は、現在のクジラの行動が2020年の強気相場の前兆と酷似していると指摘している。
下降ウェッジの上放れで10万ドル到達も
テクニカル分析上、ビットコインは数カ月にわたる下降ウェッジパターンを上抜けしており、価格が10万ドルを超える可能性を示唆している。
下降ウェッジは、価格が収束するように下落する2本のトレンドラインで構成され、最終的には上方向にブレイクするパターンとされている。ウェッジの高さをブレイク地点に加えることで目標価格を算出でき、今回の目標値は10万1570ドル超となる。
ただし現在、ビットコインは8万5300ドル付近で50日間(赤線)および200日間(青線)の指数平滑移動平均線(EMA)に上値を抑えられており、これを突破できなければ8万ドル付近での調整も想定される。
マーケットアナリストのスコット・メルカー氏は次のように述べている。
「200日間移動平均線が依然として上値の抵抗となっており、8万8804ドルの水準を明確に突破できるかどうかが、上昇トレンドへの転換を占う重要な水準だ。強気ではあるが、まだ決定的ではない。ここからの継続的な上昇が必要だ」
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。