仮想通貨業界の空売り投資家が今年、公開市場で取引される仮想通貨関連企業に対して空売りを行い、少なくとも60億ドル(8742億円)の損失を抱えている。これはビットコイン(BTC)の大幅な上昇によるものだ。

S3パートナーズの12月5日のレポートによると、コインベースやマイクロストラテジー、マラソン・デジタルなどの公開市場で取引される仮想通貨関連企業に対して空売りを行ったトレーダーは、現在で60億5000万ドルの損失を計上している。空売り投資家の損失の大半は過去3カ月間に集中している。

9月11日にビットコインが四半期の安値2万5133ドルに落ち込んだ後、空売り投資家はそのエクスポージャーを増やした。しかし、空売りに賭けたトレーダーが知らなかったのは、ビットコインが77%の上昇をみせ、12月5日には新たな年間最高値4万4481ドルに達することだった。この急激な上昇は、空売り投資家に26億5000万ドルの損失をもたらした。

仮想通貨関連株における空売り投資家の年初来の損失額 Source: S3 Partners

S3パートナーズの予測分析マネージングディレクターであるイホール・ドゥサニウスキー氏はレポートの中で「コインベース・グローバルやマイクロストラテジー、マラソン・デジタル・ホールディングス、ライオット・プラットフォームズなど、空売りされている仮想通貨株の買い戻しは、10月末以降に株価を押し上げてきた長期の買いに加え、株価をさらに押し上げるだろう」と記している。

ビットコインの年初からの161%の上昇は、仮想通貨関連企業の株価を大きく押し上げる原動力となっており、コインベースとマイクロストラテジーは同じ期間にそれぞれ312%と285%の上昇をみせている。

BTCの上昇は仮想通貨関連企業の株価を押し上げた. Source: TradingView

記事執筆時点でビットコインは4万3964ドルで取引されている。直近の上昇の背景としては、1月に予想される現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認に向けた期待感が指摘されている。

空売り投資家にとって最も失敗した取引はコインベースで、同社のほぼ290%の上昇は空売り投資家に35億ドル以上の損失をもたらした。続いてマイクロストラテジーの上昇は、空売り投資家に17億ドル以上の損失を与えている。損失が増えているにもかかわらず、一部の空売り投資家は現在の上昇が間もなく勢いを失うと考え、ポジションを増やし続けている。ビットコインが9月中旬に反発して以来、新たに6億9700万ドルの空売りポジションが追加されている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン