2025年第2四半期におけるビットコインの平均採掘コストは7万ドルを超える見通しとなっており、ネットワークのハッシュレート上昇と電力価格の高騰がマイナーの収益を圧迫している。

ビットコインマイニング調査会社TheMinerMagが6月16日に発表したレポートによれば、1BTCあたりの採掘コストは2024年第4四半期の5万2000ドルから2025年第1四半期には6万4000ドルに上昇。今期はさらに9%超の上昇が予想されている。

「現在の四半期では、直接的な採掘コストが7万ドルを超えると見込んでいる」と同社は5月・6月の業界アップデートで述べた。

The implied cost of Bitcoin production by company. Source: TheMinerMag

ビットコイン価格上昇で一息も、低効率マイナーには逆風

採掘コストが7万ドルに達する見込みということは、前四半期から約9.4%の上昇にあたる。これにより、採掘効率の低いマイナーほど利益率の縮小に直面する可能性がある。

ただし、現在ビットコインは10万7635ドル前後で推移しており、大半のマイナーは依然として十分な利益余地を確保している。

なお、この採掘コストの試算には、採掘機器の償却費や、顧客に貸し出して得られるビットコインなどは含まれていない。

電力費高騰も

TheMinerMagは、採掘コストの上昇に直面する中で上場マイナー各社がフリートハッシュコストの最適化に注力していると指摘する。フリートハッシュコストとは、ビットコインを採掘するための計算能力のコストを指す。

2025年第1四半期、上場企業の中央値は1ペタハッシュ/秒(PH/s)あたり約34ドルで横ばいとなったものの、テレウルフやビットディアといった企業では、25%超のコスト上昇が報告された。

テレウルフはこの上昇の要因として電力コストの高騰を挙げており、1kWhあたりの電力単価は0.081ドルに達した。これは前年同期(0.041ドル)のほぼ2倍にあたる。

投資家は収益多角化を重視

ビットコイン採掘企業の株価動向は分かれつつある。TheMinerMagによると、投資家はビットコイン以外の収益源を持つ企業を評価する傾向を強めているという。

ビットコインが5月4日〜6月13日で1.35%上昇する中、IREN(IREN)は21.4%上昇。このほか、コア・サイエンティフィック(CORZ)、ビット・デジタル(BTBT)、サイファー・マイニング(CIFR)も2ケタ台の上昇率を記録した。

一方で、カナン(CAN)やビットファームズ(BITF)はそれぞれ21%超の下落となり、パフォーマンスに大きな差が生まれている。

5月4日以降の主要マイナーの株価推移  Source: TheMinerMag

「マイニング関連株のトップとボトムの差が大きく開いており、ビットコイン以外の収益に注目が集まっている」とTheMinerMagは分析している。

近年、マイナー各社はAIホスティングや高性能計算(HPC)サービスなど、新たな事業領域にも進出しており、収益基盤の強化を図っている。

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