仮想通貨ビットコイン価格は、過去4日間で60000ドルのレジスタンスで何度も拒否され、ついに21日には56000ドルを下回る急落を見せた。

BTC/USD 1-hour candle chart. Source: Tradingview

6万ドルという重要なレジスタンスの突破が目前と見られる中で、59000ドル〜60500ドルというレジスタンスゾーンは容易ではないようだ。

こうした弱さの背景には、米国債利回りの上昇やビットフィネックスでの弱気の動き、リスクオン市場の苦戦という要素が挙げられる。

米国債利回り

安全とされる米国の10年債利回りが上昇すると、投資家は国債に集中し、リスクオン資産への投資意欲が低下する傾向にある。

ビットコインはダウ平均株価との相関性は低いものの、S&P500などのハイテク系株価指数との相関性は高い。

これは既報のように、米国債の勢いが強くなるにつれて、リスクオン資産の停滞を招き、これに連動してビットコインの勢いも弱まっていることを示している。

米国債利回りは3月19日から上昇を始めた。以来、ビットコインは6万ドルをうわ抜けることに苦労している。

仮想通貨コメンテーターのホルガー・ズシャピッツ氏は、次のように指摘する。

「債券トレーダーは、米国経済の回復に伴って、FRBがインフレが加速することを容認するのではないかとの見方を強め、国債の利回りは重要な水準を突破した。10年債利回りが1.75%を超えた後には上昇に向けた障壁はない」

The 10-year Treasury yield rises above 1.7%. Source: Bloomberg, Holger Zschaepitz

6万ドルで売り圧力

Byzantine Generalとして知られる偽名のビットコイントレーダーによると、仮想通貨取引所ビットフィネックスで大きな売り圧力がかかっているという。ビットフィネックスではクジラ(大口投資家)が下落の動きを助長させたようだ。

さらにデリビットやFTX、ビットメックス などのデリバティブ取引所でもショート(売り)に傾いていると指摘した。

「うーむ。まだ終わっていないみたいだ。ビットフィネック(のクジラ)は諦めていない。デリビットやビットメックス、FTXでは大きなショートがあった。建玉に関しては解消されつつあるようだけれどね」

Bitcoin price with short interest. Source: Tradingview.com, Byzantine General

クジラとデリバティブトレーダーの両方からの売り圧力によって、ビットコインは6万ドルで停滞しているようだ。

しかし、先物市場の建玉の巻き戻しが続けば、上昇トレンド再開の可能性は高まるかもしれない。

「1兆ドルを下回ることは二度とない」

著名仮想通貨アナリストであるウィリー・ウー氏は、ビットコインの時価総額が1兆ドルを下回らない可能性が高いと指摘。これがビットコインを強気のままにしているという。

ウー氏は、流通している全てのビットコインがブロックチェーン上で最後に移動された価格から決定され、ネットワークデータに基づくサポートとレジスタンスレベルの指標である、実現価格分布(URPD)指数が1兆ドルの時価総額を示していると指摘した

「UPRD:『ビットコインの7.3%が1兆ドル以上の価格で最後に動いた』。これは価格動向を示す強力な指標で、1兆ドルが投資家にサポートされていることを表している。ビットコインが1兆ドルを下回ることは二度とない。ビットコインが前回のマクロサイクルでの史上最高値である19700ドルを突破してからわずか3ヶ月だ。しかしすでに、28.7%のビットコインが19700ドル以上の価格で動いている。」

UTXO Realized Price Distribution. Source: Glassnode

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン