5月19日の仮想通貨相場の急落により、過大評価された市場の過剰なレバレッジが清算され、時価総額ベースで1兆2000億ドルの価値が消えた。

しかし、森林火災による破壊が森林のエコシステム再生において重要であるのと同様、市場の混乱は発展途上の市場のライフサイクルにおいて重要な部分であり、新たな成長の舞台を整えることになる。

グラスノードのデータによると、先月はオンチェーンの活動が「歴史的に大きく減少」し、「過去最高値でのオンチェーンエコノミーの急成長から、ほぼ完全にメモリープールをクリアし、取引と決済の需要が減少するまで急速に変化」した。

この変化により、イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の両方のネットワークで発生していた手数料の上昇に対処することができた。4月と5月にはネットワークの手数料は短期間で60ドルの高値にまで上昇したが、現在では「2020年半ばの水準である3.5ドルから4.5ドルにまで戻っている」。一部のトレーダーは、これが市場が強気から弱気に転じたサインかと懸念している。

Bitcoin vs. Ether average transaction fee. Source: Glassnode

オンチェーン活動の低下により、ビットコインネットワークにより決済された米ドル建ての合計転送量は65%減少し、イーサリアムでは60%減少している。ビットコインは17年の80%の減少、イーサリアムは18年の95%の減少に次いで、2番目に大きな減少となっている。

長期保有者による蓄積進む

短期保有者が市況後退の影響を最も強く受けているため、オンチェーンの活動は一部の人にとっては厳しい状況のようにみえるが、よく見ると長期保有者が再びBTCを蓄積し始めている。これは市場の動揺の最悪期が過ぎたサインかもしれない。

Long-term holder net position change. Source: Glassnode

上のチャートでみられるように、長期のBTC保有者が保有する量は、価格が1万ドルから6万4000ドルへの上昇が発生した分配期間が終わった後、上昇し始めている。この数字の上昇は、「長期保有者の供給が現在、堅調な上昇トレンドにある」ことを示してり、「2017年後半の強気と18年はじめの弱気」のときに見られたトレンドに似ている。

グラスノードは「このフラクタルは、長期保有者が支出を止め、再び蓄積し、現在安価と考えられているコインを貯め込み始める変曲点を表している」と述べている。

長期保有者が現在保有しているBTCの量が、2017年のピーク時よりも多いという事実は、さらに強気であることがわかる。

市場が次の上昇に備えて保ち合いとなっている可能性があるというもう1つの兆候は、過去6か月間のBTCの流動性および非流動性供給の変化で見ることができる。

Bitcoin liquid and highly liquid supply. Source: Glassnode

上のグラフでみられるように、160,700BTCは5月に非流動状態から流動状態に戻っている。これは2020年3月以降に流動性から非流動性に移行した供給量の22%に相当する。

つまり残りの78%は依然として非流動的であることを意味し、長期保有者の全体的な見通しがいまだポジティブであることを示している。

予測不可能なボラティリティ、インフルエンサーからの奇妙なツイート、政府の規制強化への懸念など、仮想通貨の次のステップについて確信が持てない一方で、オンチェーンのデータは長期的にポジティブな見通しを示しており、現在の動揺と保ち合いのフェーズが落ち着けば、再び成長を再開することになるだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

ここに表示された見解および意見は、著者のものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を反映するものではありません。すべての投資とトレーディングにはリスクが伴うため、意思決定の際に独自の調査を実施する必要があります。