ビットコイン・オーディナルズが2023年に仮想通貨業界に登場し、ビットコインブロックチェーン上の非代替性トークン(NFT)としての地位を確立した。オーディナルズを巡る議論はビットコインコミュニティに大きな亀裂を生じさせ、2016年のビットコインのブロックサイズ論争以来の問題となった。

ウォール街の大手企業がビットコインETF発行を目前に控える中、ビットコイン・オーディナルズの支持者は、ビットコインコア開発者によってコレクティブルが無効化されるリスクを避けるため、ビットコインキャッシュ(BCH)やビットコインSV(BSV)のようにビットコイン(BTC)をハードフォークすることを検討すべきかもしれない。

ハードフォークはブロックチェーンが2つに分岐する際に発生する。元のフォークは従来のプロトコルと台帳を継続し、新しいフォークはプロトコルを何らかの形で変更し、新しいコインとして展開する。例えば、ビットコインキャッシュはビットコインから、ビットコインSVはビットコインキャッシュからフォークした。ビットコインキャッシュとビットコインSVのコミュニティは、サトシ・ナカモトがブロックサイズの増加をスケーラビリティのための唯一の道とみなしていたと主張する。

ビットコイン・オーディナルズ論争

ビットコインとビットコイン・オーディナルズを巡る議論では、2つの派閥が対立している。ビットコインマキシマリストの側は、オーディナルズがビットコインのデジタルゴールドや電子通貨としての優れた用途を損なうと主張し、オーディナルズをビットコインプロトコルへの攻撃と見なしている。

もう一方の側であるオーディナルズの支持者は、オーディナルズがコア開発者自身によるビットコインプロトコルの変更によって可能になったと主張する。これには、セグウィット(SegWit)アップグレードにおけるビットコイントランザクションフォーマットの変更や、タップルート(Taproot)アップグレードも含まれる。支持者サイドはオーディナルズをイノベーションだと考えている。

過去数か月間にわたり、この論争はヒートアップし、両陣営が対立を深めており、ビットコイン支持者であるマックス・カイザー氏や開発者のルーク・レイトン氏がオーディナルズに対して攻撃を強めている。

ビットコインコアv27

ビットコインコア開発者はビットコインコアv27で、ビットコインブロックチェーンにオーディナルズを追加できないようにすることで、認識されているバグを修復することを計画している。既存のオーディナルズは残るが、ビットコインコアv27の変更は新しいオーディナルズの発行を止めることになる。ビットコインv27の開発が進んでいることは、オーディナルズの購入者やマイナーではなく、開発者やノードがビットコインのプロトコルの将来を最終的に決定するということを示している。

プロトコルレベルで将来のオーディナルズを排除する可能性があるビットコインコミュニティに対して厳しい戦いを挑むよりも、ビットコイン・オーディナルズ陣営はビットコインキャッシュやビットコインSVが示した例に倣い、コア開発者による脅威なしにビットコイン・オーディナルズチェーンを構築することができるだろう。

結局のところ、ビットコインコミュニティはプロトコルレベルでの大規模な変更に対して団結して反対してきたわけであり、現在のビットコイン体制はビットコイン・オーディナルズの廃止に意欲的であるといえる。

独自チェーンに分岐する可能性

ビットコインは歴史的に重要な岐路において、ますます分裂を深めている。内部抗争はビットコインコミュニティを未熟に見せ、新たな規模で機関投資家の資金が流入する中で、分散化と金融主権というビットコインの核心的原則を失うリスクがある。

今こそビットコインコミュニティが団結する時だ。世界のデジタルゴールドおよび/または電子通貨としてのビットコインを守るために、別のハードフォークが必要だ。ビットコイン・オーディナルズチェーンは、ブロックサイズに関する議論のような全面戦争よりも成功する可能性が高い。さらに、2023年にオーディナルズが増加したことに伴い、取引手数料が高まったことを経験したビットコインマイナーはオーディナルズチェーンを支持する可能性が高い。

カダン・スタデルマン氏(Kadan Stadelmann)はブロックチェーン開発者であり、コモドプラットフォームの最高技術責任者である。2011年にウィーン大学で情報技術の学位を取得し、その後ベルリン工科大学で技術情報学と科学技術コンピューティングを学んだ。彼は2016年にコモドチームに参加した。

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