仮想通貨市場でビットコイン(BTC)の価格上昇を見込んだ強気なポジションが急増しており、先物の建玉(OI)が過去最高水準に達している。
デリバティブ市場データを提供するコイングラスによれば、ビットコイン先物の建玉は5月23日時点で800億ドルを超え、5月初旬から30%増加した。この急増は、トレーダーがさらなるビットコイン上昇を見込み、レバレッジをかけてポジションを積み増していることを示している。
建玉とは、清算または決済されていない先物契約の総数を指し、市場における現在の投機的関心の大きさを表す。建玉が急増している状況では、多くのトレーダーが借り入れを用いた大口ポジションを抱えている可能性が高い。
しかし、BTC価格がこれらの過剰なレバレッジポジションに反した方向へ動いた場合、強制ロスカットが連鎖的に発生し、ビットコインの急落や市場の激しい変動につながるリスクもある。
一方で、今週だけで25億ドル以上の資金流入があった現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の動きが、このような過熱したレバレッジの影響をある程度相殺するとの見方も出ている。
ビットコインのオプション市場でも類似の動きが見られ、デリビット上では11万ドルおよび12万ドルのストライク価格における建玉が15億ドルを超えている。さらに、11万5000ドル、12万5000ドル、13万ドルのストライクでもそれぞれ10億ドル以上の建玉が確認されている。
5月23日には、想定元本26億ドル相当のオプション契約が満期を迎える予定であり、プット・コール比率は1.2%と、売り手優勢であることを示している。また、最も損失が集中する「最大痛点」は10万3000ドルとされている。
一時11万1000ドルを割り込むも依然高水準を維持
ビットコインはコインベースで一時的に11万1000ドルを割り込んだものの、おおむね高値圏を維持している。
ビットコインは年初から20%近く上昇しており、4月7日にトランプ米大統領による関税導入の発表を受けて一時7万5000ドルまで下落してからは、約50%の回復を遂げた。
5月22日には過去最高値となる11万2000ドルを記録し、その後は11万1000ドル前後での推移が続いていたが、その水準を下回る動きも見られている。相場は引き続き高値圏でのボラティリティを伴った展開となっている。