ビットコイン(BTC)は3月10日、ウォール街の取引開始とともに再び売り圧力にさらされ、数カ月ぶりの安値に挑む展開となった。
BTC/USD 1-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
4カ月ぶり安値に接近
Cointelegraph Markets ProとTradingViewのデータによると、BTC/USDは同日約4%下落し、Bitstamp上で79,170ドルに達した。
リスク資産全体が安全資産への逃避により売られる中、週末にかけた弱含みの展開が続いた。
米株式市場も大きく下落し、S&P500とナスダック総合指数はそれぞれ2%、3.5%の下落で取引を開始した。
この動きについて、金融メディア「The Kobeissi Letter」は、「政府効率化省(DOGE)による支出削減が株価急落の一因」と指摘した。
「貿易戦争ばかりが注目されているが、政府支出の削減見通しの影響を軽視すべきではない」とX(旧Twitter)への最新投稿で述べた。
「政府支出と雇用の拡大がこれまで米経済を支えてきた。DOGEによる支出削減は確実に影響を及ぼすだろう。」
S&P 500 1-day chart. Source: Cointelegraph/TradingView
また、Kobeissiは仮想通貨市場についても、過去2カ月で1兆ドルの時価総額が消失したと指摘した。
「米戦略備蓄(戦略石油備蓄=SPR)の発表後に起きたラリー(上昇相場)は、完全に帳消しになった」とBTC/USDに関して述べた。
市場関係者の見方は割れており、BTC価格がどこで底を打つのかは依然として不透明な状況となっている。
人気トレーダー兼アナリストのRekt Capital氏は、フォロワーに対し「価格が下落する一方でRSI(相対力指数)が上昇する『強気のダイバージェンス』が形成されるかどうかに注目すべき」と助言した。
「今後、日足チャートにおいて価格が安値を更新する一方、RSIが高値を切り上げる動きが見られれば、反転の兆候となる可能性がある」と述べた。
BTC/USD 1-day chart with RSI data. Source: Rekt Capital/X
また別の投稿では、現在の強気相場において「日足RSIが28を下回ったときは必ず反発している」とも指摘した。
具体的には、「ビットコインの価格が底を打つか、あるいは底から-2%から-8%以内に位置している場合に反発してきた」と説明している。
執筆時点での日足RSIは33.2となっている。
BTC/USD 1-day chart with RSI data. Source: Rekt Capital/X
バイビットのハッキングが依然として影を落とす
一方、トレーディング会社QCPキャピタルは、仮想通貨市場全体の下落について「先月発生した仮想通貨取引所Bybitのハッキング被害に関連した売り圧力が背景にある」と指摘した。
QCPはTelegramチャンネル向けの最新レポートで「本日の価格下落は、ハッカーによる追加売却を見越した保有者の先回り売りによって加速している可能性がある。ハッカーがすでに盗難資産の価値が25%減少したことを受け、さらなる損失を避けるため現金化に動いていることが示唆されている。」とし、次のように述べた。
「これにより、過去24時間でプットオプション(売る権利)の需要が急増し、今後の売り圧力への警戒感が高まっている。」
QCPのデータによれば、市場の楽観ムードは2025年第3四半期以降まで本格的に回復しないと見られている。
「仮想通貨が新たなストーリー(物語)を見つけるまでの間、短期的にはビットコインと株式市場の相関が強まる可能性が高い」とQCPは指摘。さらに「両市場とも直近安値圏で推移しており、関税リスクが依然として重しとなる中、今週発表される米国の重要な経済指標(3月13日のCPI=消費者物価指数、3月14日のPPI=生産者物価指数)を控えて、ボラティリティ(価格変動)が高まる可能性がある」とまとめた。
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