筋金入りの仮想通貨批判派が、ついにビットコインの価値を認めたか?

英ロンドンで開催されたAIおよびブロックチェーン関連イベント「CC フォーラム ロンドン」において、「グローバルかつ中央集権的な金融システムの課題とその解決策」というパネルディスカッションが開催。「破滅博士」の異名を持つニューヨーク大学のヌリエル・ルビーニ教授が参加し、「不完全な価値の保存」を行うと認めた。

仮想通貨ビットコインSV(BSV)支持派カルヴィン・エアー(Calvin Ayre)氏傘下の仮想通貨系メディア「コインギーク」が10月16日に報じた

またこのパネルディスカッションでは、BSV率いるクレイグ・ライト(自称サトシ・ナカモト)氏、中国初のビットコイン取引所BTCC創業者ボビー・リー氏、ビットコイン財団のブロック・ピアス氏、元JPモルガンのブロックチェーン研究者トーン・ベイズ氏も登壇した。

「おそらく、BTCは不完全な価値の保存手段」

ベイズ氏が10月17日にツイートしたように、ルビーニ教授のコメントは、批判混じりとはいえほぼ間違いなく仮想通貨に対するスタンスの変化の兆し、小さな1歩を表しているかもしれない。

「おそらくビットコインは不完全な価値の保存手段だが、通貨や決済手段ではなく、スケーラブルでもない。(注力)ピーク時以来60%の価値が失われている。率直にいって、どうなるとも思えない」

また「私は、あなたのシットコイン(無価値な仮想通貨)のどちらか1つをドルで引き取る」とBTCCのリー氏に語り、金融における技術革新が差し迫っているとはいえ、それはAI・ビッグデータ・IoT(モノのインターネット)技術などからもたらされるだろうと主張した。

トークン化とは、物々交換を行う石器時代への回帰

ルビーニ教授は、ブロックチェーン支持者によって提案されている資産のトークン化は、勝因の相対価格の測定を阻害するため、「物々交換を行う石器時代」に戻るものと述べた。

「原始家族フリントストーン(石器時代を描いたアニメ)でも、仮想通貨よりも洗練された価値のシステムがあった」

ルビーニ教授による仮想通貨に対する否定的な評価は、マクロ経済に対する悲観的な見方に由来しており、自国主義(バルカニゼーション)と脱グローバリゼーションを引き起こす米中貿易戦争、ユーロ圏の景気後退を招きかねないブレグジット(英国のEU離脱)、中東の緊張の高まりによる原油価格上昇などのリスクを強調した。

また資本集約や省力化が進むにつれ、取引コストのかからない(frictionless)貿易、移民、さらにテクノロジーに対してさえ「ポピュリストの反発」が見られると主張した。

さらに、ディスカッションの中で、ルビーニ教授は、仮想通貨に関するおなじもの発言をいくつか繰り返した。政府は匿名性を維持する価値移転システムを断固として拒否し、仮想通貨における分権化の考え方は神話、絵空事だというものだ。

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版