資産運用会社グレイスケールによる分析によると、今年4月に控えるビットコインの半減期における売り圧力が以前の半減期よりも相対的に減少し、ビットコイン価格をこれまで以上に押し上げると指摘している。

ビットコイン価格は、半減期後サイクルごとに、最高値を更新しており、これは需給関係の変化によるものとされることがある。しかし、グレイスケールは今回の半減期では、現物上場投資信託(ETF)という新たな要因が、半減期における大きな押し上げ圧力になると主張した。

現在のマイニング報酬は1ブロックあたり6.25ビットコインで、ビットコイン価格が43,000ドルの場合、年間約140億ドル相当となる。つまり、現在の価格を維持するためには、同期間に140億ドル規模の買い圧力が必要となる。

しかし、「半減期後は、この必要量は半減する。ブロックあたり3.125ビットコインしかマイニングできなくなり、これは年間70億ドルに減少する。実質的に売圧を軽減する効果を持つ。」という。

ビットコインの売圧は、マイナーから発生する影響が大きい。4年に一度、ビットコインは半減期と呼ばれるイベントを迎え、ブロックをマイニングする報酬が半減されるためだ。

マイナーにとって、この仕組みは、マイニング収益が50%減少することを意味する。しかし、マイナーにとってマイニングにかかるコストは同じままであり、収益性を維持するためにコスト増加の可能性もある。コスト圧力に対応するため、マイナーは通常、保有するビットコインをより多く売却し、供給量を増やすためにビットコイン価格の下落圧力となる。

グレイスケールは、ウォール街で最近デビューした9つのビットコインETFが、マイナーの売圧に対する「カウンターバランス」としての役割を果たす可能性を指摘している。

Bitcoin's 2024 halving impact on coins issuance. Source: Grayscale Research.

ビットコインETFは、売圧を大幅に吸収し、新たな安定的な需要源を提供することで、ビットコインの市場構造を根本的に変革し、価格上昇に貢献する可能性があるという。

実際にビットコインETFは、投資家から好評を得ている。9つのETFは2月9日に最初の20営業日を終え、運用資産総額(AUM)が100億ドルに達した。ビットメックス・リサーチのデータによると、ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラストは40億ドル相当のBTCを保有し、トップに立っている。