今週のビットコイン(BTC)はさえない展開が続いているが、世界のマネーサプライの動きに連動すれば、流れが変わる可能性もある。

フィデリティ・インベストメンツのグローバルマクロ部門ディレクターであるジュリアン・ティマー氏は、地政学的緊張を背景に世界のマネーサプライが前年比8.5%増となったことを受けて、金価格に上昇圧力がかかる可能性があると指摘した。一方で、ビットコインのボラティリティが高いため、異なる動きを見せる可能性もあるという。

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グローバルマネーサプライに基づいた金かかkSource: Jurrien Timmer/X

ティマー氏は、金とビットコインのいずれもシャープレシオが上昇しており、リスク調整後のリターンが改善していることを明かした。この指標の信頼性は価格回復の可能性を示唆するものの、ビットコインが「価値の保存手段」と「ナスダックの代替指数」の間で二重の役割を持っていることが、その安定性を損なっているという。

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金とBTCのシャープレシオ比較. Source: Jurrien Timmer/X

マーケットアナリストのトニー・シカモア氏も同様の見解を示し、2025年のビットコインは金のような安全資産ではなく、米国株のようなリスク資産として取引されていると述べている

また、LVRGのリサーチディレクターであるニック・ラック氏はコインテレグラフに対し、ビットコインの「デジタルゴールド」というナラティブが弱まりつつあり、多くのトレーダーはリスク調整後の資産としてではなく、短期的なボラティリティに焦点を当てていると語った。

ビットコインの季節性、第3四半期は横ばい傾向

米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を2024年12月以来4.25%〜4.50%で据え置いており、明確な金融政策の方向性が見えない中で、地政学的リスクも相まって、今週のビットコイン価格は伸び悩んでいる。

ただし、金曜のCNBCインタビューにおいて、FRBのクリストファー・ウォーラー理事は早ければ7月にも利下げを実施する可能性があると発言した。ウォーラー氏は、関税がインフレを大きく押し上げるとの懸念を退け、利下げの可能性を明確に示唆したかたちだ。

この利下げが現実化すれば、ビットコインの第3四半期の上昇シナリオに追い風となる可能性がある。しかし過去の季節性に目を向けると、実際の上昇局面は第4四半期まで持ち越されるかもしれない。

BTCの過去10年間の月間リターン  Source: Timothy Peterson/X

エコノミストのティモシー・ピーターソン氏は、過去10年間における6月1日から9月30日までのビットコインの中央値リターンが4カ月全体でわずか1%であると指摘した。

この傾向が続く場合、ビットコインは10万ドル超での推移を維持しつつ、第4四半期にかけてより大きな上昇を見せる可能性がある。

なお、金曜のロンドン市場では、10万6000ドル付近からビットコインが急落した。テクニカル分析では、長期・短期のいずれの時間軸でも弱気の勢いが継続しており、今後数日のうちに10万2614ドル付近で再度流動性が狙われる可能性が高いとみられている。

もし売り圧力がさらに強まれば、価格は10万ドルの節目付近まで下落する可能性があり、これは以前の保ち合いの安値および主要なフェアバリューギャップと一致する水準だ。

Bitcoin 4-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
 

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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