ブラックロックのデジタル資産部門責任者であるロビー・ミッチニック氏は、一部のアナリストが考えるような悲観的な見方とは対照的に、景気後退(リセッション)下でもビットコイン(BTC)は成長を続ける可能性が高いと指摘している。
ミッチニック氏は3月19日のYahoo Financeのインタビューで「景気後退が起こるかどうかはわからないが、もし起きれば、それはビットコインにとって大きな追い風になる」と述べた。
ミッチニック氏によれば、ビットコインは政府の財政支出の増加、財政赤字の拡大、低金利政策、金融緩和といった要因によって価格が上昇しやすい。これらの要素は、景気後退期に政府や中央銀行が実施することが多い政策であり、市場に流動性を供給することでリスク資産への資金流入を促す。
さらに、社会不安の懸念もビットコインの需要を押し上げる要因となると同氏は指摘した。「景気後退期には社会不安が高まることがあるが、それもまたビットコインの価格上昇を促す要因となりうる」。
市場のビットコインへの評価は適切ではない?
ミッチニック氏は、現在の市場はビットコインを適切に評価していないと考えている。
「市場はビットコインをリスク資産として見なしているが、それは正しくない」と同氏は述べた。
リスク資産とは、株式、コモディティ、高利回り債券など、市場環境に大きく左右される資産を指す。一般的に、景気後退時にはこれらの資産は売られやすい。
しかし、ミッチニック氏は「この誤解こそが、ビットコインという新しい資産クラスにおける投資機会を生み出している」とし、ブラックロックは顧客に対してこうした認識のギャップを埋めるための教育を行っていると述べた。
また、ブラックロックの「洗練された長期的なビットコイン投資家」の一部は、現在の市場調整を買いの機会と見ており、景気後退懸念には動じていないという。
コインベースは慎重な見方を示す
一方で、仮想通貨取引所コインベースのリサーチチームは、ミッチニック氏ほど楽観的ではない。
3月17日に発表した月次レポートで、コインベース・インスティテューショナルは「第1四半期の仮想通貨市場に対する楽観的な見通しは、明らかに景気後退懸念によって覆された」と述べた。
さらに、米国の新たな関税政策も、市場心理の悪化に影響を与えたとしている。「米国経済の急激な減速、またはリセッションへの懸念が市場心理を大きく冷やしている」。
ブラックロックのビットコインETFの影響力
ブラックロックは、機関投資家や資産管理業界でのビットコイン採用を推進する中心的な存在となっている。
同社のiシェアーズ・ビットコイン・トラストETF(IBIT)は、現物ビットコイン投資商品として最大の純資産額を誇り、現在48.7億ドルを運用している。
最近、多くの現物ビットコインETFで資金流出が見られるが、ミッチニック氏はこれを懸念していない。「最近の資金流出のほとんどは、ヘッジファンドによるスポット・先物裁定取引の解消によるものであり、長期保有を目的とする投資家の動きではない」と述べている。