著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

6日〜12日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比67,869円(2.22%)安の2,989,196円と3週続落。ただ、週足終値は、週安値の2,671,097円から11.91%も反発しており、長い下ヒゲを付けた。

シリコンバレーバンク(SIVB、以後SVB)の有価証券売却に端を発する米銀行業界への影響波及懸念や、NY司法長官(NYAG)事務局によるKuCoinの提訴で、300万円周辺から下げ足を速めたBTCは、10日東京時間に270万円で下げ渋ると、2月の米雇用統計の結果を受けて一時は反発した。一方、この日はカリフォルニア州金融保護イノベーション局がSVBを閉鎖し、同社が連邦預金保険公社(FDIC)の管轄下に置かれ経営破綻となると、SVBに準備金の一部を保管していたサークルのUSDCがデペグし始めた他、米金融セクターへの影響を懸念して米株市場が前日に続き下落し、BTCは上値を抑えられた。

その後、SVBの破綻が局地的な影響で済むとの思惑もあり、11日のBTC相場は自律反発の様相で280万円を一時回復するも、サークルがSVBで保有する約400億ドルUSDCの準備金の内、33億ドルが引き出し不可になっていると伝わると、BTCは反落した。幸い、ドル建てで節目の20,000ドル(≒269.4万円)で相場は下げ止まり、USDCのデペグが徐々に回復すると270万円台後半に戻した。

今朝方には、シグネチャーバンクもNY金融当局に業務停止を命じられたが、イエレン米財務長官がSVB破綻の影響波及に否定的な姿勢を示し、FDICによる同社の買収案を視野に入れていることを発表すると、BTC相場は急反発。さらに、米財務省(MoF)と米連邦準備制度理事会(FRB)が共同声明を発表し、SVBにある預金が完全に保護されることを発表し、シグネチャーバンクにも類似した特例を適用すると明かされると、相場は300万円にワンタッチした。

第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成

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