著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

先週(8月1日〜7日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比17,766円(0.57%)高の3,130,476円と5週続騰。BTC対ドルは週足終値で200週移動平均線を維持した。

先週、週明けのBTCは、ペロシ米下院議長の台湾訪問決定を巡る米中関係の悪化によりリスクオフムードが台頭し、310万円から上値を重くし節目300万円を僅かに割り込む展開で始まった。もっとも、ペロシ氏が2日夜に無事台湾に到着したと報じられると、BTCは対ドル200週線水準で反発、複数米金融当局者からのタカ派的発言や、Solana系ウォレットへのハッキングもあったが、急速な円安の恩恵を受け300万円を維持すると、再び対ドル200週線水準で粘り腰を発揮し310万円を回復した(ドル円相場の急騰により、BTC対ドル200週線の水準が円換算で引き上がった)。

週央には元中華系取引所の ZB.comがハッキングの被害に見舞われ一部サービスを停止すると、相次ぐハッキング事件に市場のムードが悪化し、BTCは310万円を割り込み再び300万円割れをうかがったが、週央の相場下落にはロングの投げが伴い、先物資金調達率もマイナスに振れたことで売り一服感で相場は反転。5日の米雇用統計では、非農業雇用者数変化が市場予想の倍近くの増加となった上、失業率は低下、平均時給は増加となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月も積極的な利上げを継続するとの思惑から米長期金利が急騰し一時は荒れ模様を予感させたが、労働市場が堅調だったことで景気後退懸念が和らいだこともあり米株が切り返すと、BTCも連れ高となり310万円台を維持した。

週末には、FRBのボウマン理事が、インフレが継続して低下しない限り(7月と)同等幅の利上げを検討するべきと発言したが、他の当局者とのスタンスにそれほど相違がなかったからか、相場への影響は限定的だった。

第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成

続きはこちら

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。