バイナンスの創業者兼CEOであるジャオ・チャンポン氏(通称CZ)は、「悪い」仮想通貨プロジェクトは破綻させるべきで、資金を持つ健全な仮想通貨企業から救済を受けるべきではないと主張している。

CZは6月23日付のブログで、運営や管理が不十分な企業、あるいは設計が不十分なプロダクトをリリースした企業は救済されるべきではなく、むしろ崩壊するままにしておくべきだと述べている。

「要するに、それらは『悪い』プロジェクトに過ぎない。これらは保存されるべきではない。悲しいことに、これらの『悪い』プロジェクトの中には、多くのユーザーを抱えているものがある。これらのユーザーは、しばしば膨れ上がったインセンティブ、『創造的なマーケティング』、あるいは純粋なポンジスキームによって獲得されたものだ」

さらにどんな業界でも、成功したプロジェクトより失敗したプロジェクトの方が多いものだ。願わくば、失敗が小さく、成功が大きいといいのだが。しかし、あなたもこの考えは理解できるだろう。ここでの救済は意味がない」と付け加えた。

このコメントは、仮想通貨億万長者のサム・バンクマン-フリード氏と彼の会社アラメダ・リサーチが、ボイジャーデジタルのように最近流動性に問題がある企業やプロジェクトを3億5000万USDコイン(USDC)と1万5250BTCのリボルビングローンで救済する動きがある中で、出されたものです。

しかし、CZは、「問題はあるが修正可能」または「破綻しかけているが大きな可能性を秘めている」キャッシュライト企業の支援を検討することができると述べている。

「『関わりたい』『話したい 』と言う多くのプロジェクトが私たちのもとにやってきている」という。「各プロジェクトを詳細に検討していて決定していく必要がある。それにはある程度の主観も入るだろう」と、CZは付け加えている。

現在の弱気市場の結果、多くの企業が流動性の問題に直面している。また他の企業はスリーアローズキャピタルやセルシウスなどの潜在的に債務超過の企業やプロジェクトへの投資のために動揺している。

バイナンスのCZのコメントは、火曜日に米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員が仮想通貨企業の救済についてコメントした内容とも共鳴するものだ。

6月21日に行われたForbesのインタビューで、仮想通貨への友好的な姿勢から「クリプトママ」とも呼ばれるピアース氏は、苦境にある企業を救済する代わりに、より持続可能な業界を作るために「これらの企業を放置する」方が良いと主張した。

「市場で少し厳しい状況になると、誰が実際に長期間続くかもしれないものを作っているのか、何が無くなってしまうのかを発見することができる」と、ピアース氏は言っている。

バイナンスは分散的か

6月23日、CZはビジネスウィークのインタビューで、自社のミッションは、従来の中央集権型モデルとは異なり、中央の権威やリーダーがいなくても運営できる自律型のブロックチェーンベースのプロジェクトを支援することだと述べている

CZはまた、この分散化というミッションの一環として、自らの会社を「組織」、社員を「チームメンバー」と呼んでいる。

しかしビジネスウィークは、匿名の元バイナンス社員とされる人物のコメントを引用し、同社が主張するほど分散化されていない可能性があるとし、CZが同社とそのビジネス決定に対する唯一の権限を持っていると指摘している。「結局、彼が持ち株会社なんだ」と、元社員は語っている。