ビットコインが犯罪に利用されているとして非難する人もいる。2015年までに、過去にはRoss UlbrightやSilk Roadのような件があり、2011年にはポンジ・スキームにビットコインを悪用したとして有罪が認められた、Trendon Shavers氏の件などがあった。
こういったことから学べる教訓として、全てはビットコインの取引が生成されているブロックチェーン上で行われたということが挙げられる。
学術研究者やビットコイン専門家たちは、法執行機関によってこういった犯罪行為に終止符が打てるよう助力している。しかし、ビットコインによる取引は追跡可能なのだろうか?
追跡不可能な仕様としてデザインされていない限り追跡可能
Blockchain Solutionsのプロトコル・アーキテクト、Derick Smith氏は次のように語っている―
「明確に追跡不可な仕様としてデザインされていない限り、追跡は可能です。これはビットコインを特定の解読不可能な状態にした場合ですが、またはDashのDarksendのケースのような場合です」
金融紛争やテクノロジー関連の問題とサイバー・セキュリティに詳しい、Paul Glass氏は、自身の記事、”How secure is blockchain?”の中で、2015年3月に開催されたBlack Hat Asiaカンファレンスで、インターポールが、ビットコインの基礎となるブロックチェーンを破壊可能なマルウェアに変化するソフトウェアのコンセプトをデモンストレーションしていた、と記述している。これが事実であれば、取引に関係のないデータをブロックチェーン上に導入することが可能だということになる。
ニューカッスル大学の研究者もまた、ボットネットによるコマンドを利用することで、メッセージをビットコインネットワーク上のボットに送信し、コントロールするメカニズムについて紹介している。これらはまだ潜在的な脆弱性を突いた早期デモンストレーションでしかなく、ブロックチェーン全体にどの程度影響を及ぼすものなのかはまだ定かではない。
しかしながら、彼らがデモンストレーションしたということは、ブロックチェーン技術が情報セキュリティを向上させる新たな方法を提供する可能性を秘めている一方で、問題を解決することそれ自体よりも、ビジネスにおけるまた新たな武器を手にした、ということに近い出来事だろう。
完全に追跡可能
ビットコインを決済方法として利用したい人は、プライバシーにまつわる問題や単純な興味から惹かれて利用している人が多い。ビットコインは2009年から流通し始め、ブロックチェーンを通じてその匿名性やハイテク・セキュリティに基づいた経済的自由を促進してきた。しかし、実際にブロックチェーンを通していることで、取引履歴の情報を公に開示してしまうというパラドックスがビットコインには存在する。
SCORECHAIN、CEO兼共同設立者、Pierre Gerard氏はこの問題についてコインテレグラフに次のような意見を寄せている―
「ビットコイン取引は完全に追跡可能です。これはビットコインにおけるどのような活動も追跡可能だ、ということです。もちろん、幾らか限界は生じてきますが。資産を共有している場合や、共通の取引履歴を残すことに同意していた場合であれば、元の利用履歴を追うことは難しいでしょう。しかしそれも既に情報の一端と言えます。セキュリティを強化したいのであれば、”疑わしい”行動を起こしそうな人や、履歴を全く残していないような人と関わりを避けるのが良策でしょう。取引がインプット、アウトプットされ、構築されるに従って、実体のあるアドレス(クラスタ)としてグループ化することができますし、複数のアドレスの持ち主が一人である、または一つの企業である、と特定することが出来てしまいます」
主な問題は、複数のアドレスを実際の人や企業とリンク出来てしまうことだ。これが、取引が規制される所以である。Gerard氏は、「エントリー・ポイントとエンド・ポイントが示している部分から、彼らがきちんとフィアット・マネーとビットコイン間の取引をコントロールしているのだ、と判断することで、その取引を信用することが出来るようになるでしょう」と語っている。
Gerard氏は仮想通貨を利用する多くの人々が、個人情報を隠すよりも、”信用情報”を構築したいと考えているのだと結論付けている。そしてこれがまさに彼らがScorechainでやろうとしていることでもある。