アービトラム(ARB)の分散型自治組織(DAO)が、仮想通貨ミキサー「トルネードキャッシュ」の開発者たちの弁護士費用を提供するための投票を実施している。提案が承認されれば、コミュニティは初年度に最大60万ARBトークン、執筆時点で約130万ドルを寄付することになる。
3月7日に匿名の代理人DKによって提出された提案は、トルネードキャッシュの開発者であるロマン・ストーム氏とアレクセイ・ペルツェフ氏の「強力な法的弁護」に対して資金提供することを目的としている。
また、資金はプライバシー保護技術や開発者に対する法的支援などの活動にも使用されるという。「彼らの法的資金への支援を集めることで、プライバシー保護技術の未来だけでなく、イノベーション、分散化、個人の主権というより広範な原則を守ることを目指している」と提案には記されている。
提案は、20万ARBから60万ARBまでの異なる資金レベルに応じた3段階の投票を設定している。現時点で、投票の80%以上が最高レベルの資金提供に投じられている。投票の締め切りは3月14日だ。
トルネードキャッシュとその創設者に対する訴訟は、プラットフォームが10億ドル以上の不正資金の洗浄に関与したというものだ。これには、北朝鮮のハッキング組織ラザルスグループに関連する資金も含まれている。その結果、トルネードキャッシュは米国の制裁リストに追加されるなど、重大な法的措置を受けており、米国の居住者がこのサービスを利用することを事実上禁じている。このことは、仮想通貨コミュニティ内で議論を呼んでいる。

トルネードキャッシュの支持者は、プラットフォームが分散型の資金送金ソフトウェアを提供しているだけで、直接的に違法な資金送金を行っているわけではないと主張し、開発者に対する告発に根拠はないと考えている。仮想通貨支援団体コインセンターによると、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)のガイドラインでは、匿名化ソフトウェア提供者は資金送金業者と見なされるべきではないとしている。
ストーム氏とペルツェフ氏は、米国当局から資金洗浄での共謀、制裁違反の共謀、無許可の資金送金業運営の共謀などで複数の告発を受けている。最初の2つの告発はそれぞれ最高で20年の懲役刑が科される可能性があり、無許可の資金送金業運営の告発は最大5年の懲役刑に処せられる可能性がある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン