ビットコインキャッシュ(BCH)の主要な実装であるビットコインABCは、BCHのコアプロトコルへの変更をするために11月15日より前にハードフォークする必要があるとする、物議を醸す新しいアップグレードを公開した。

リード開発者のアモリー・セシェット氏は、新しいアップグレードの理由の一部は、ビットコインキャッシュがビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)と競合できるようにするため、重要な開発資金を提供することであると述べている。

「比較すると、ビットコインキャッシュは資金が不足しており、その結果、インフラストラクチャの維持管理が不十分になり、ビットコインコアなどの他のチームの作業や貧弱な開発ツールに大きく依存している」

アップデートでは、ブロック時間の引き延ばしに応じて「ASERT」と呼ばれる新しい難易度調整アルゴリズムが導入される。また、進行中の開発への資金提供のため、マイニング報酬の8%を指定されたウォレットに提供するという「コインベースルール」が導入される。このコインベースルールが物議を醸しているものだ。

セシェット氏は、コインベースルールがなければ、ビットコインキャッシュの将来は「無価値なものへのゆっくりとしたドリフトになる」と主張している。またセシェット氏は、コミュニティの分裂は、この1つの問題よりもはるかに深いものであると述べている。BCHの緊張がコインベースルールに起因しているとする人もいるが、「1ヶ月前では難易度調整に関するものだった。…これらの詳細はあまり関係ない」と、セシェット氏は指摘している。

「分裂は最初にコミュニティレベルで発生し、次にそれを永続させる理由が発見されることになる」

さらに彼は、「現時点でコミュニティを再統合させるためにできることはないと思う」とも述べている。

何が問題なのか?

ビットコインABCは、コインベースルールにより、「ネットワークを維持および開発するためにさらに技術的な人材を採用する」ことが可能になると考えており、これによりトランザクションチェーンのボトルネックが解消され、BCH転送がさらに高速化されると主張している。

コインベースルールは11月のハードフォークの争点になっているようだ。オルタナティブのBCH実装「ビットコインキャッシュノード(BCHN)」の支持者の一部は、セシェット氏の辞任を求めている

ビットコインキャッシュの最も著名な支持者であるロジャー・バー氏は、コインベースルールに反対を表明している。Reddit上で、このアップグレードについて、BCHを「ダッシュに類似するように」変更するものだと例えている。バー氏は、コインテレグラフに次のようにコメントしている。

「ダッシュは好きだが、BCHをダッシュに似せるように変更する必要があるとは思えない。BCHコミュニティの中でBCHをダッシュのように変更したい人は、BCHを売ってダッシュを買えばいい」

セシェット氏への辞任要求

BCHNのサポーターであるニラック・ザ・グリム氏は、ブログの中でセシェット氏の辞任を要求している。ニラック氏は、「コインベースルールはずっと恐ろしいものだ」と批判している。

ニラック氏は、最近の資金調達イニシアティブは「コミュニティはその開発プロジェクトにお金を晴らすのが大好き」だと主張し、「インフラストラクチャへの資金供給には問題はない」と強調した。

ニラック氏は、ビットコインキャッシュのコミュニティ内での緊張にもかかわらず、11月のハードフォークは回避されるだろうとの予測をコインテレグラフに語っている。

「私たちは中国のマイニングプールと連絡を取り合っており、コインベースの報酬に対するこの一方的な変更にも反対していることは明らかだ」

セシェット氏は、BCHが11月にフォークするかどうかには確信が持てないが、「BCHNはABCからのブロックを受け入れるが、その逆はないだろう」と強調している。

「これはBCHNがABCよりも多くのハッシュを持っている場合にフォークすることになるが、その逆はないということだ」と、セシェット氏は述べている。

しかし、フォークが発生した場合、セシェット氏は、チェーンの分割後にBCHチェーンがBCHNチェーンより長くなれば、「BCHNチェーンが消去される」と警告している。

「私はどこの取引所もまともであれば、消えるかもしれない資産を上場させるとは思わない。彼らはチェーンの生存を確実にする緊急ハードフォークを実行することを強いられるかもしれない」とも付け加えた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン