海外巨大掲示板レディットのサブフォーラム r/bitcoinは、仮想通貨に熱狂する人たちの最大のオンラインコミュニティだと言われている。そこで一番人気のネタのひとつが、ローラーコースターに乗ったコインが両手を高く上げている絵の画像だ。ビットコインの価格が急上昇している日には上向きのコインが表示され、価格が急落している日は同じ絵の向きが変えられコインがほぼ垂直に落下していく、滑稽な様子がアップされる。このインターネットジョークは、ここ数年の間、ビットコイン価格が急激に変動する度にほぼ毎回登場してきた。そして登場回数の頻繁さが物語るのは、いかにビットコインが乱高下を繰り返して来たかということだ。

Pic

 ビットコイン価格は絶え間なく上がったり下がったりしている。18年年初の70%の価格下落も驚くことではないし、これまでに見られた下落の中でも最悪のことでもない。最もひどい暴落の最中でも、経験豊かな投資家たちは平然としている。なぜなら以前にも起きたことだからだ。調整局面で持ちこたえるというのは、仮想通貨の投資家にとって通過儀礼のようなものだ。ベテランの投資家は、何年もの間、何度も耐え抜いてきたのだ。

2011年6月

 初期のビットコインは「西部開拓時代」のようなものだった。ビットコインを扱う取引所の数はとても少なくて、勇気がある者の中でも特に勇気のある者だけが手を出すものだった。当時は流動性に飢えていたので、価格が0.95ドルあたりから上昇し始めた後の上昇具合とそれに続く下落は、ビットコイン史上最も急激な動きのひとつとなった。

BTC1

 11年6月半ばには、ビットコイン価格は32ドルに達したが、11月には2ドルまで落込んだ。この94%の下落という記録はいまだ塗り替えられていないし、苦い記憶として初期の投資家に残っているが、持ち堪えた人は幸運に感謝している(大金も手に入れた)。今から考えると、当時の高値はちっぽけに見える。しかし、当時取引されていた量も関心も、現在に比べるとほんのわずかでしかなかったことを考慮しなくてはならない。実験だと思われていたビットコインの知名度は低かったし、誰もその未来を予測できなかった。従って、特にあれだけの価格上昇を見せた後で、32ドルというのは利益を確定させるのに良いタイミングに思えたので、投資家たちは売り始めた。

2012年1月

 2番目の暴落は、ビットコイン価格が2ドルまで下落した数カ月後に起きた。11年の年末までに価格は2桁台まで回復していたが、32ドルからの急落を目にしたばかりの市場にはまだ不安が漂っていた。

BTC2

 4.50ドルという楽観的な価格で年を明けたビットコインは、1月中に7ドル以上まで上昇した。しかし、押し目買いを狙う投資家は重要な事実を示す、この時の経験に学ぶと良い。ビットコインは、再び調整面に入る前に前回の最高価格に達するとは限らないのだ。1月下旬に、価格が7.40ドルあたりから、一気に3.80ドルまで49%下落し、11月の大暴落を生き延びた投資家たちの中にはこの急落で振り落とされた者もいた。

2013年4月

 12年のはじめから13年の間は平穏な時期だった。ビットコインの価格は着実に上昇する様子を見せ、12年の最高価格は17ドル、13年はおよそ13ドルで年を明けた。13年の初め、強気相場に入ったビットコインの価格は最高価格だった32ドルを越え、49ドルまで達したが、次の日には小規模の調整が入り、33ドルまで下がった。

BTC3

 マスコミ報道の拡大と、新しい取引所と投資家の増加によって、ビットコインの価格は素早く回復した。そして、4月に強気相場が260ドルでとうとう降伏するまで、史上初めて3桁を突破し、熱狂的なペースで上昇を続けた。当時最も人気のあった取引所のマウントゴックスのサービス停止も、下落の要因とされた。利食い売りによる暴落で、価格は83%の下落を記録して40ドルまで下がった。

2013年11月

 ビットコイン史上最大の、そして最も典型的な暴落として知られている、悪名高い87%の下落が13年11月に起きたのは不思議なことではない。最近の20000ドルに達した価格上昇が示すように、ビットコイン市場は年の終りに過熱する傾向がある。

BTC4

13年後半、ビットコインの価格は1200ドルに達しつつあった。その後市場の衰退が数年間続くだけの、心理的に大きな数字だった。調整局面は411日間続き、15年1月に150ドルまで下がった。

2017年11月

 ビットコインの4桁突入からちょうど5年後、仮想通貨界の王であるビットコインは10000ドルの5桁の大台に乗り、20000ドルまで登り詰めて勢いを失った。ビットコイン購入のベストチャンスは2年前だったが、17年の年明け価格750ドルで購入した人でもかなりの利益を得た。

BTC5

 12月に、小規模の調整で14000ドルまで下落したものの勢いを完全に失うことはなく、すぐに17000ドルまで持ち返してから、最終的な急落が始まった。ビットコインの持続性への懸念から、特に見事なアルトコインが多数公表されてから大量の売却が加速した。5900ドル台まで下落すると反発が起きた。これはビットコインの価格が急速な上昇を見せた17年後半のレベルだ。13年の例からすると、70%を越える下落率を記録する可能性はあるが、市場関係者たちの18年の見通しは楽観的だ。

今後の見通し

 この乱高下が繰り返される長い歴史が示すのは、前向きなしるしだ。ビットコインがメディアで取りあげられるようになってから注目を集め続けているし、価値があり続ける限り、個人投資家とメディアに注目され、人気は拡大し続けるだろう。規制圧力や技術的課題、この記事で紹介しきれなかった数々の調整局面にも関わらず、ビットコインはブロックチェーン革命の先頭を走り続けている。

 しかし、ビットコインの運命は、その可能性を信じる者だけに委ねられているわけではないし、13年の急落後の時期が示すように、上昇局面へと戻る道はいつも真っ直ぐというわけでもない。ビットコインの採掘をしている人たちは利益を得る他の方法を探し続けているし、先物市場も開始したなかで、ビットコインの先行きは透明とは言えない。

 ビットコインの乱高下の歴史はまだまだ終わらなさそうだ。