仮想通貨(暗号資産)データ提供企業のグラスノードの30日のデータから、マイナーがビットコイン(BTC)を売却しようと準備している可能性が高まっている。過去24時間で仮想通貨取引所へのマイナーからの送金が大幅に増加しているのだ。

Bitcoin miners to exchange flow rise by 46.5%

(出典:グラスノード「ビットコインマイナーの出金が46.5%増加」)

マイナーから取引所への送金が大幅に増加すると、マイナーがビットコインを売ろうとしていることから、価格の下落につながるように見えるかもしれない。しかし、今回の動きはビットコイン価格に大きく影響しないだろう。理由は3つ挙げられる。

第1にマイナーからの売却は11400ドルでのビットコインの反落と一致していること。

第2に、46.5%の出金は大きな額のように感じられるが、これは現在のBTC価格ではわずか94000ドル(約980万円)に過ぎないこと。ビットコインの取引所市場では1日に240億ドル(約2兆5000億円)を取引していることを考えると、わずかな額だということがわかるだろう。

第3に一部のアナリストはファンダメンタルズが強化していることともに、ビットコインの短期的な市場構造が楽観的になってきていると考えていることだ。

BTCは11400ドルですでに反落している

7月28日にビットコイン価格は多くの取引所で11400ドルでピークを迎えた。以来、10800ドルまで5%の下落を記録している。

バイトツリーのデータによると、マイナーは過去7日間で、マイニングした量よりも510BTC多く売っていることがわかっている。1週間でマイナーは6556BTCを採掘し、7060BTCを売却したのだ。

ビットコイン価格が過去48時間ですでに5%下落していることを考慮すると、市場はマイニング業社の売却を織り込んだ可能性が高い。もしそうならば、今回のマイナーからの出金が短期的に価格に影響を与える可能性は低いと考えられる。

大きな額ではない

さらに500BTCという額は、週ベースで見た場合のマイナーの通常の支出額と比べるとあまり変わらない。マイナーは経費を賄うために、やや多くのビットコインを売却したかもしれないが、これは今後数週間の支出の動きを見る必要があるだろう。

過去のデータを見ると、マイナーは定期的にマイニングしたビットコインのほとんどを売却している。例えば、取引所市場の500BTCの売り注文は約500万ドルに相当するが、これは高くもなく、珍しくもない値だ。

短期市場の構造

一方でトレーダーはビットコインが最近回復したことで、短期的なトレンドがポジティブになっていると見ている。ビットコインは10800ドルまで下落した直後に11000ドルを回復した。

まずはじめに、11200ドルから11400ドルのレジスタンス幅をわずかに上回った。最新のテクニカル分析によると、11000ドルの回復と1時間足のが強い勢いを後押しする可能性がある。

The hourly chart of Bitcoin shows a minor recovery

(出典:ジョニー・モー「1時間足チャートでは小幅な回復を見せている」)

ビットコイントレーダーのジョニー・モー氏は以下のように指摘している。

「ウェッジ型のブレイクダウンででショートを捕まえた場合、1時間足のロウソク足を見ると、カバーを検討する必要がある。」

ビットコインを取り巻く市場は強気に振れているようだ。バイナンス先物データでは、「トップトレーダー」の58%がビットコインをロングポジションを保有している。

市場はこのように過半数がロングポジションを保有しているものの、今週はじめから値動きは再び小幅になっている。永久先物の資金調達率(ファンディングレート)は全体的に低下している。これは市場が過熱していないことを示しており、トレーダーは短期的に強気市場と見ているようだ。

さらにマイナーから取引所への流入にも関わらず、取引所が保有しているビットコインの量は、2019年夏の上昇相場以来の最低レベルまで低下している。

これらのことから、通常規模の反落や中立的な先物市場、比較的小さなマイナーの売りが合流することで、ビットコインの勢いが持続する可能性があるだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン