ブロックチェーン分析会社グラスノードによると、ほとんどのビットコイン(BTC)トレーダーが損失を出しながらも売り続けていることで、現在の仮想通貨弱気市場を過去最悪にする要因になっている。

グラスノードは25日、「A Bear of Historic Proportions」と題したレポートを公表。ビットコインが200日移動平均(MA)を下回っていることや、実現価格からマイナスの偏差になっていること、純実現損失から、2022年のビットコイン市場が過去最悪になっていることを指摘した。

"この中で、ビットコインとイーサリアムは共に前回の半減期サイクルの最高値を下回って取引されており、これは歴史上初めてのことだ。"

弱気相場の最初の、そして最も明白な兆候は、ビットコイン(BTC)のスポット価格が200日MAと、さらに極端なシナリオである200週MAを下回るときだ。現在の価格水準がいかに稀であるかを強調するために、グラスノードは、2022年の弱気相場の間、ビットコインが200日MAレベルの半分を下回っていることを示した。

Bitcoin price has fallen below 0.5 MM for the first time since 2015: Glassnode

グラスノードはさらに、メイヤー・マルチプル(MM)が0.5を下回ることは、2015年以来一度も起きていない極めて稀なケースであることを示した。MMは、200日MAの上下の価格変動を要因として、買われすぎ、売られすぎの状態を示すもの。報告書では、「4160取引日のうち84取引日(2%)で終値MM値0.5未満を記録している」と指摘した。

"2021-22年サイクルは史上初めて、前サイクルの安値(0.511)より低いMM値(0.487)を記録した。"

現在の市況の厳しさを裏付けるのは、スポット価格が実現価格を下回り、トレーダーがますます損切りで売却せざるを得なくなっていることだ。グラスノードは、このような連鎖効果は「弱気相場や降伏市場の典型 」であると指摘した。

グラスノードは、スポット価格が実現価格を下回って取引される例は珍しいと述べ、これは過去6年間で3回目、2009年のビットコイン発売以来5回目の出来事であるという。

「スポット価格は現在、実現価格に対して11.3%のディスカウントで取引されており、市場参加者は現在、平均的に、ポジションを購入価格よりも安値で保有していることを意味している」

下のグラフで示すようにビットコインの全取引日で見ると、スポット価格が実現価格を下回ったのは13.9%だという。

Just 13.9% of trading days have seen spot prices below realized price: Glassnode

これらの状況は、2022年6月にビットコインが2万ドルを下回ったときに顕著になった。グラスノードによると、「史上最大の1日の米ドル建て実現損」が起きたと指摘した。

「投資家は1日で42億3400万ドルの損失を被った。これは2021年半ばに設定された34億5700万ドルの以前の記録から22.5%高い」

すべてのネガティブな指標を考慮すると、市場は降伏イベントの真っ只中にあるとグラスノードは指摘した。