2018年に仮想通貨投資家が失った仮想通貨は17億ドル(約1850億円)だったことが明らかになった。CNBCがサイファートレース・仮想通貨・インテリジェンスのレポートとして伝えた。2017年に比べて被害額は3.6倍になっており、弱気相場にもかかわらず、犯罪行為は増加した。

記事によると、17億ドルのうち、ほぼ10億ドルが取引所での被害額。去年1月に起きたコインチェック事件が更にその半分以上を占めていることになる(約580億円のネム消失)。ただ、去年の第4四半期にかけて、携帯電話番号を盗用することでオンラインの金融口座やSNSアカウントを乗っ取るSIMスワップ詐欺などの詐害行為が増加したそうだ。

また、仮想通貨を使った資金調達であるイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で、Exit Scams(出口詐欺)が横行したという。投資家の資金を持ち逃げする出口詐欺は、去年ほぼ7億5000万ドルの被害があったそうだ。

サイファートレースのデーブ・ジェヴァンズCEOは、実際の被害額はもっと大きい可能性を指摘。また、犯罪者について、単なる街の悪党ではなく、コンピューター・サイエンスで修士号を取ったようなプロ集団という見方を示した。

コインチェック事件とは、2018年1月26日に仮想通貨取引所コインチェックがハッキングされ、保管されていた仮想通貨「NEM」が大量流出した事件。事件当時NEMは、インターネット接続されたまま保管する「ホットウォレット」に保管されており、かつ秘密鍵を複数用いるマルチシグでの管理を行っていなかったのでセキュリティは脆弱な状態であった。そのセキュリティの脆弱性を突かれ、時価総額で約580億円相当のNEMが、数分の内にコインチェックから消えてしまった。コインチェックは自己資産から、利用者への損害補てんを行ったが、サービスの停止や事件による損失に対し集団訴訟を起こすケースが見られた。史上最大額の仮想通貨盗難事件として注目され、仮想通貨業界の未熟さとそれに対処するための法整備の必要性が明らかになった。

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