Metaka Warsは、様々なデザインと珍しい機能を搭載した新しいNFTです。各Metakaは将来的にプライベートクラブのメンバーシップに対してNFTをドロップします。Metaka Warsは、PFPから始まり、アニメ、映画、ゲームなど様々な分野で成長し続けるWeb3ブランドです。

「近年のロボットデザインは変わってきており、以前のロボットの魅力はラフデザインだったが、近年では3DやCG技術の向上に伴い、どんどん繊細なデザインが多くなっている。」と大河原邦男は話す。 あまり細かくすると邪魔になるし、デザインも面白くなくなるし、架空の機械仕掛けの作品には、時代を超える何かがあり、 時代によってスタイルは異なるかもしれませんが、現実には手に入らないものが、夢や空想、憧れになりやすいのだそうだ。 

五十嵐浩司(アニメーション研究家) 
大河原邦男は日本最初のメカニックデザイナーである。もともとはテキスタイルを学び、紳士服メーカーで働いていたが、絵を描く仕事を選び、1972年にタツノコプロに入社した。大河原はタツノコプロで『マッハGoGoGo』(1967)でマッハ号をデザインした中村光毅(背景画家、代表作:『風の谷のナウシカ』)に才能を見出され、メカニックを専門で描くようになっていった。大河原はアニメーション『科学忍者隊ガッチャマン』(1972)のスタッフとなり、主に毎回登場する怪獣ロボットやゲストメカのデザインを担当する。当時タツノコプロに在籍した天野喜孝(イラストレーター、代表作:『ファイナルファンタジー』)によると、当時から大河原の描くメカニックは立体を正確に理解した写実的なものだったという。大河原はタツノコプロでアニメのノウハウを学び、映像製作の現場がどのようなデザインを求めているかを理解していった。それはのちの彼の製作姿勢に重要な意味を持っていく。

やがて、大河原はタツノコプロから独立し、中村光毅とオフィスメカマンを設立。タツノコプロ以外の製作会社とも仕事をするようになった。その当時、日本はロボットアニメのブームであり、玩具メーカーが番組とタイアップして子供向けの玩具を多数発売していた。もともと立体を理解している大河原はそこでも重宝され、玩具メーカーとの信頼関係を強くしていった。一方で番組の製作会社としても、玩具メーカーに信頼されている大河原が加わることで企画が進めやすくなることを利点として理解し、大河原の仕事は急激に増えていく。1970年代後半には大河原はフリーのデザイナーとして自宅に仕事場を構えるようになり、現在に至る仕事のスタイルが確立された。

アニメ製作会社の一つ、日本サンライズ(現/バンダイナムコフィルムワークス)は大河原が主役ロボットをデザインした『無敵鋼人ダイターン3』(1978)を製作する。『ダイターン3』の成功を受けて、大河原は続く新企画『機動戦士ガンダム』(1979)にも着手した。『ガンダム』に登場するロボットはモビルスーツと呼ばれ、SF小説に登場した装甲宇宙服をモチーフにしている。これまでのロボットアニメとは違ったSF要素の強いオーダーを受けて、大河原は主人公ロボットとしてガンダム、その敵役としてザクを生み出した。ガンダムには人体の骨格や筋肉を思わせる意匠を盛り込み、一方のザクは背広をモチーフにすることで、それぞれに人が着ていることをビジュアル化したのである。
『ガンダム』に関わったことは大河原のデザイナー人生を一変させた。一つは『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナーである安彦良和(漫画家、代表作『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』)との出会いによってロボットの佇まいが洗練されたこと、もう一つはイラストレーターとしての活動である。特に後者は映像では表現できなかった高密度のディテールや、実在の兵器を意識したカラーリングをキャンバスに表現し、見る者に強いインパクトを与えた。1981年に日本中を席巻したガンプラブームに、大河原のイラストが及ぼした影響は非常に大きいものとなっている。

しかしながら、大河原は常にシリアスなロボットばかりをデザインしていたわけではない。古巣であるタツノコプロで『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』(1977)に関わったことで、大河原のもう一つの才能が開花する。それはコミカルなメカニックのデザインであった。『ヤッターマン』で総監督を務めた笹川ひろし(アニメーション監督、代表作:『ハクション大魔王』)は元々漫画家であり、ビジュアルに関するアイディアも多数提供している。大河原は笹川のセンスを吸収し、それをメカニックとしてアウトプットし続けることで、コミカルメカの第一人者となった。『ヤッターマン』以降同シリーズのほぼすべての作品に大河原は参加し、モビルスーツとは真逆のメカニックに可愛さが感じられる世界観を構築していく。

大河原が1970年代に掴んだノウハウは、その後も様々な形で進化していく。『ガンダム』に続くリアリティを含んだロボットのアイディアは、『太陽の牙ダグラム』(1981)、『装甲騎兵ボトムズ』(1983)でより研ぎ澄まされ、架空のロボットから現実に存在する兵器としての空気を漂わせる。実際『ボトムズ』に登場するスコープドッグは実物大サイズの像が作られ、その現実的な存在感を示した。また、『ヤッターマン』で見せたコミカルメカのセンスは、意外にも『機動武闘伝Gガンダム』(1994)にもフィードバックされている。『Gガンダム』は新たな世界観で作られた作品であり、世界各国を代表するガンダムが登場した。大河原は作品内容を正確に理解し、それまでのガンダムシリーズには存在し得なかったインパクトのあるデザインを次々と生み出している。

大河原のメカニックデザイナー生活は2022年で50年を迎える。そこには決して変わることのないポリシーが存在していた。それは「Metaka Wars」に登場する4種のロボットを見ても明らかである。いずれも極めてシンプルな線で構成されており、必要最低限の枚数で各部の形状を把握できる。これこそが大河原が50年を経た現代であっても映像製作の現場から重宝されるポイントだった。さらに「Metaka Wars」ならではの特徴として、4陣営のロボットはいずれも目に該当する箇所へ巧みに変化が付けられている。目の形状はストレートにキャラクター性にリンクする部分であり、ユーザーが自分の好みのメカを見つけることを容易としているのだ。言われてみれば単純な話かもしれないが、大河原のシンプルなアイディアは大変な説得力を持っている。それが50年のキャリアに結びついたことは事実であり、「Metaka Wars」もその力を存分に発揮したデザインであることは論をまたない。大河原の才能は唯一無二であり、世界に誇るべきものなのである。
 

<プロフィール>
五十嵐浩司(Igarashi Koji)
アニメーション研究家
株式会社タルカス代表取締役。1992年よりアニメ・特撮・ホビー関係のルポライターとして活動中。編著作として『超合金・ポピニカ大図鑑』(グリーンアロー出版)、『ガンプラ・ジェネレーション』(講談社)、『タカラSFランド大全集』(講談社)等があり、『超合金』『マジンガーZ』『スーパー戦隊ロボ』『トランスフォーマー』『ダイアクロン』に関する書籍を多数編纂している。2017年にはこれまでのキャラクターマーチャンダイズの研究をまとめた『ロボットアニメビジネス進化論』(光文社)を上梓した。現在は『月刊ホビージャパン』で連載を3本持ち、日本のメジャー&マイナーを問わず、ロボットアニメ文化を後世へ残すことをライフワークとして活動中。