20世紀の終わりにポスト全土主義から、国民に自由と権利を与えるという、前代未聞の改革が行われたロシア。しかし、これは未だ全てが完了したわけでは無いようである。なぜなら、2019年11月より同国のインターネットと国外のネットワークを接続を遮断する法律が執行されたからである。

ロシア当局は、国内インターネットプロバイダーへ、禁止されたサイトへのアクセス及び、コンテンツに対し、フィルタリングなどのインターネット情報を管理装置の設置を促している。この規制の目的を「安全で安定した状態」とするのであれば、VPNの存在を視野には入れなかったのであろうか?

VPNとは仮想プライベートネットワークの英語表記の略語で、インターネットとデバイス間に構築される安全なトンネルを用いて、ユーザーのオンライン接続をスヌーピング、干渉、検閲から保護することを可能にする優秀な製品である。

この新しい規制法案のかなり前より、世界中で利用されており、サイバーアタックからユーザーの安全を守る方法として使用されていることが多い。

拡大していく規制

同年12月には、国内インターネットを国外ネットワークより遮断する実験において成功を納めている。

国内のインターネット「RuNet」が独立して動作し、国内において問題なくインターネットサービスの維持が可能であると確認された。これには、政府機関やセキュリティー関連機関が参加しており、同時に接続の安定性・モバイル通信のセキュリティ・個人情報の保護・IoTデバイスのセキュリティなどについても調査が行われている。

この他ロシアでは、自国版ウィキペディアの作成を進めているほか、2020年7月には国内で販売されるスマートフォンにロシア製アプリのみのインストールを義務付ける法律が執行される予定となっている。果たしてこの結果が、国外からのサイバーアタックへの予防となっているのかは、さらにこの後の話となってくる。

中国やキューバでは、すでに国家レベルでインターネットを規制しているが、中国の規制はより厳しく、2003年から「金盾」または「Great Firewall(GFW)」と呼ばれるインターネット接続の検閲&規制機能が適用されている。

ロシアにおいても後々中国のように、監視が強まり、国民におけるアクセスの自由が制限されてしまうのだろうか?

実際に国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は一連のロシアの動きに対して「言論の自由とネット上の情報に対するロシア政府の管理を強化するものだ」と警鐘を鳴らしている。

在ロ日本人の悲鳴

在ロシアの日本人たちが困惑しているのは、サイバーアタックではなく、故郷にいる家族との連絡手段の遮断である。多くの日本人が、無料ビデオ通話として利用している「LINE」が利用できなくなってしま可能性が大きくなってきている。

これにより、新たなコミュニケーション方法を、探す必要が出てきているのが現状である。

 

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