NFT入門:第1回

2021年、「N・F・T」の三文字がインターネット界を席巻した。いまやこの言葉を知らない若者を見つける方が難しい。

デジタルで描かれた「猿」の絵が数百万ドルで落札され、Facebookのタイムラインをにぎわした。それを狂気と感じた諸兄も多いだろう。

NFTの投機ブームに困惑したり、非難したりするのは、もっともなことだ。ニュースの見出しは元来センセーショナルになりがちだが、ソーシャルメディア全盛の昨今においては、なおさらその傾向が強い。NFTの技術に関する長ったらしい説明よりも、派手だが誤解を招きやすい記事は、手っ取り早くクリック数を稼いでくれる。

NFTのエコシステムは本当に画期的で面食らわせるものだ。だが、NFTの特徴と可能性を具体的に理解すれば、この分野に関するよくある誤解や勘違いを覆すことは比較的容易といえる。

パート1:NFTへの理解を深めることを目的とした「全3回シリーズ」の第1回目は、NFTのエコシステムについて詳述する。NFTとは何かを定義し、よくある誤解について紹介する。
パート2:NFTの役立ちと無限の可能性について考察する。
パート3:デジタルアートにおけるNFTの文化的意義と注目の高まりについて考察する。

NFTの歴史

史上初のNFT「Quantum」は、ケビン・マッコイ(Kevin McCoy)氏が2014年5月3日に制作した。ブロックチェーン技術のデジタルアートへの応用をアピールする目的だった。彼はこれを「マネタイズド・グラフィックス」と名づけたが、その名は伊達ではなかった。2021年6月にサザビーズのオークションで14億7200万米ドルで落札されたのだ。

次に登場したのが、かのCryptopunksである。これは2017年6月にイーサリアムネットワーク上でローンチされた。1万種類におよぶユニークなデジタルキャラクターのコレクションで、基本的に無料でミントできる(マイナーはガス代を払うだけでいい)。だが、当初の「基本的に無料」から、今はずいぶん遠いところに来てしまった。本記事執筆時点で、最も安いパンクの販売価格は48.95 ETH(約96,284米ドル) だ。クリスティーズやサザビーズなどのオークションハウスのカタログにも、Cryptopunksは定期的に出品されている。パンクについた最高価格は、8,000 ETH(現在の価格で1,575万2,000米ドル) 。2022年2月12日なので、最近のことだ。

Cryptopunksは、「Beeple's Everydays:the First 5000 Days」(6,930万ドルで落札)や「Bored Ape Yacht Club」(BAYC)などの他のNFTと同様、アートコレクションの世界の常識を超えたNFTブームを引き起こした張本人と考えられている。

NFTに世間の目を向けたもう1つのプロジェクトがCryptoKittiesだ。2017年にサービスを開始して以来、人気は急上昇。「デジタル・ビーニー・ベイビーズ」 と名づけられ、プレイヤーとトレーダーが莫大な利益を上げているという見出しでニュースをにぎわせた。

これらすべてが、NFTエコシステム、特に2018-2021年のイーサリアム需要とプロジェクト数の爆発的増加につながった。OpenSeaの人気は、日々誕生する多くのプロジェクトによって支えられていた。以来、イーサリアムは、BAYC、Azuki、CloneXなどの巨大な時価総額を持つ有名プロジェクトのプラットフォームとなった。そして2021年、Solanaエコシステムが、STEPNのプラットフォームとして一躍メインストリームに躍り出た。STEPNと同様、高速なトランザクションと安価なガス代により、ブロックチェーンは多くのクリプトアプリにとって不可欠な要素となった。

NFTとは何か?

Non-Fungible Token(NFT)を構成する単語をつぶさに調べれば、おのずとその本質がみえてくる。代替性とは、自由に交換可能なことであり、他と区別できないものを指す。たとえば、10ドル札の束を例にとろう。レストランで100ドルの支払いをするには、10ドル札の束から10枚を渡せばいい。10ドル札はどれでも構わない。

1,000枚のトレーディングカードについても同様のことがいえる。これが代替可能の意味だ。一方、代替不可能なアイテムは、唯一の存在で、複製できず、お互いに区別できる。たとえば、本物のモナリザは1つしか存在しない。精巧な複製があったとして、普通の神経の持ち主なら、決して本物と交換することはないだろう。1/1のトレーディングカードや、家や車といった資産についても同じことがいえる。さて、NFTはどのようにして関わってくるのだろうか。

NFTは、ブロックチェーンに格納されたデジタルデータである。ブロックチェーン上にあることで、NFTは検証され、原理上、改ざんはできない。

画像や特定の特徴などのメタデータをトークンに添付することもできる。そのため、2つのSTEPNシューズが、たまたままったく同じ外見で、同じステータスを持つことがあっても、トークンアドレスと固有のコードを持っているため、まったく別の資産であると認識される。

NFTを購入する場合、JPEG形式のコードを購入することになる。だが、多くの場合、NFTにはきれいな画像以上の価値がある。NFTには信じられないほど様々な活用方法があり、NFTの個々のユースケースは「ユーティリティ」と呼ばれる。

NFTのユースケース

NFTは、Web3アプリやゲームの暗号資産としても利用できる。STEPNはその好例だ。ありがたいことに、ブロックチェーン技術を用いれば、NFTをサポートするゲーム間でアイテムを転送して使用することができる。つまり、1つのアイテムを複数のゲームで使用することができる。パワーやベロシティなどの様々なステータスを、複数のゲームでどう統合するかは、ゲーム開発者の腕の見せ所だ。

また、ハイテク企業によるNFTのミントは、シードファンディングのラウンドとして機能させることができる。NFTからのトークン配当によって、初期投資家に特別な報奨を与えて報いることが可能となる。トークンは、企業の製品/サービスへの支払いに使用できるので、その需要は今後増大するだろう。

メタバースもまた、ユーティリティプロジェクトの1つだ。メタバースの世界では、NFTが「仮想プロパティ」または「あなたのアバター」となる。プロジェクトは、NFTを売買するためのマーケットプレイスの構築などのユースケースを見つけることで、トークンのユーティリティはさらに増える。シュレッディング・トークンによる割引決済を認めるEコマースプラットフォームもすでに登場している。

NFTは、クリエイターとメーカーにも大きな可能性をもたらす。現在「1/1アート」 という全く新しい世界が脚光を浴びており、ここには多くのアーティストと熱心なファンたちが集っている。ミュージシャンは、DaramolaのSupply Chainプロジェクトのように、自分たちの音楽をブロックチェーンで配信している。NFTを利用すれば、クリエイターはレコード会社を介さなくていいので、法外な手数料を支払うことなく独自の条件でコンテンツを提供することができる。

NFTのコミュニティ的側面は、現在きわめて過小評価されていると言わざるを得ない。分散型自律組織(DAO)では、特定のNFTを保有することが参加資格となる。コミュニティは、鮮度の高い情報を交換する場所かもしれないし、自分の支持基盤を獲得するためのネットワークかもしれない。NFTの所有者には、当代一流のインフルエンサーやセレブ達と肩を並べる立場が与えられる。Bored Ape Yacht Clubの会員は、自分がジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)やパリス・ヒルトン(Paris Hilton)と同じコミュニティにいることを誇らしげに語るだろう。

NFTのユースケースが、単なるJPEGよりもはるかに豊かであることがおわかり頂けただろうか。今後さらなるイノベーションが起きれば、ユースケースは増え続けるだろう。

よくある誤解

第一に、今のNFTバブルがはじける可能性があることを認識しておいて欲しい。市場は行き過ぎた楽観に満ちており、泡沫プロジェクトはごまんとある。「次にクリプト長者になるのは自分だ」とばかりに、多くの投機的資金が流入しているが、予期せぬ出来事により、ひとたび楽観主義が恐怖に変わると、巨大なボラティリティが生まれる。賢明なトレーダーが、気まぐれな市場のセンチメントに頼らず、現実世界にバリューをもたらすようなプロジェクトに投資するようアドバイスしているのをよく見かけるようになった。

第二に、「実際の価値を持つ」プロジェクトは実在するということだ。NFTは、大まかに言って、コレクション、ユーティリティベースのプロジェクト、およびその両方に分類される。これらはすべて、2つの異なる面から価値を提供する。

NFT初期のBored Ape Yacht ClubやOkay Bearsのようなコレクションに実用性はない。だが、これらはETHとSOLのNFTエコシステムにおいてトップの地位を維持している。ブランディングや文化主導のプロジェクトは、繁華街のビルボード広告を通じてバイラルなブランド認知を向上させ、NFTがメインストリームへのブレークスルーを果たすうえで大きく貢献しているのは、まぎれもない事実だ。

一方で、NFT技術はきわめて高い有用性をもつ。産業革命の再来といっていい。今後、身分証明書やパスポート、さらには不動産権利書がNFTになる可能性がある。偽造や改ざんができず、リアルタイムに更新されるドキュメントは、現代の様々な問題を解決するだろう。
NFTは、人類のために全く新しい世界を開く、フロンティア技術といえる。テクノロジーはすでに手中の鳥だ。なすべきは、心の中の可能性のパラメータを更新することで、我々の既成概念をクラッシュ&ビルドすることなのだ。

結論

NFTは革命的なイノベーションの可能性を秘めているが、世界はまだ、NFTが地球文明にもたらす影響の大きさに気づいていない。NFTがメインストリームになる上での最大の障害は、大衆からの誤解である。未来におけるNFTの可能性は、クリプトネイティブ世代の熱意にかかっている。

我々Realmsは、STEPNバースに新しいゲームを提供し、より多くのユーザーの皆様にエコシステムを楽しんで頂けるよう、努めてまいります。

STEPNは、Web3初心者がプレイヤー視点からNFTエコシステムを健全化する役目を担っていることをしかと認識している。シンプルかつ分かりやすいオンボーディングプロセスを提供することで、できるかぎり多くの人々が参加し、Web3への第一歩を踏み出すことを、開発チームは心から願っている。