「ミスター100」という謎のビットコインのクジラ(大口保有者)が35億ドル相当の5万2996BTCを保有していることがオンチェーンデータで明らかになり、仮想通貨コミュニティで関心を集めている。

ミスター100とは何者か?

3月15日、ミスター100のウォレットは少なくとも1000BTCを購入し、これは10個の現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)が購入した1907BTCの52%に相当すると、HODL15CapitalがX(旧ツイッター)で投稿した

Bitcoin accumulation sheet, Source: X, HODL15Capital

このアドレスは2022年11月のFTXの崩壊時からBTCを継続的に受け取っており、2月14日以降はほぼ毎日100BTC以上を追加している。

このウォレットは、2019年からセカンダリーウォレットからいくつかの大きなビットコイン送金を受け取っている。HODL15Capitalは3月15日のXの投稿で、謎の大口保有者が少なくとも2019年からビットコインを積み上げていると指摘し、「私が知っていることは、これが米国のETFのいずれでもないということだ。私はそれらをすべてマッピングしている」と付け加えた

HODL15Capitalはこのクジラについて、いくつかの仮説を提示している。ETFを準備している香港の金融機関、カタール投資庁、ほかの中東の政府系ファンド、韓国のアップビット取引所に関連するコールドウォレット、ジェフ・ベゾスやマーク・ザッカーバーグといったテック系億万長者のアドレスなどの説を挙げている。

ミスター100はビットコインの価格がほぼ史上最高値に近いにもかかわらず、3月12日には400BTCを追加取得している。この時ビットコインは7万2000ドルを超えて取引されていた。

Bitinfochartsのデータによると、ミスター100のウォレットは現在、14番目に大きなBTC保有者となっている。

Mr. 100 Wallet Data. Source: Bitinfocharts

アップビットに関連するウォレットか

ブロックチェーン情報会社アーカムインテリジェンスによると、ミスター100のウォレットは仮想通貨取引所アップビットに属するコールドウォレットとしてタグ付けされている。

クリスタルインテリジェンスは、ブロックチェーンデータの分析に基づき、この謎のウォレットはアップビットに属しているとコインテレグラフに説明した。「このウォレットに関連する取引の数と価値はVASPタイプのサービスを示している。また、入金トランザクションがアップビットから発信されており、FTXの崩壊以降、一貫した価値を維持していることを高い精度で確認できる」とのべた。

ウォレットの流出を見ると、ミスター100はビットコインのトランザクションをアーカムのプラットフォームでアップビットのホットウォレットとしてタグ付けされたウォレットにのみ送信している。ほとんどの取引は少なくとも500BTCのトランシェで、最大の取引では3000BTCを移転した。

Upbit: Cold Wallet Outflows. Source: Arkham Intelligence.

クリスタルインテリジェンスの分析チームは、セカンダリウォレットもアップビットに属していることを確認した。「ビットコインはアウトゴーイングトランザクションの側で3つの主要なクラスターに移動され、それらのクラスターは後続の取引で接続されているように見える。また、1Ay8vから資金を受け取ったクラスターがアップビットに属しているという証拠も見つかった」という。

「ミスター100」のウォレットはアップビットに属している可能性が高いと、オンチェーンアナリストDefioasisが3月12日のXで書いている。「100BTCの定期的な動きは購入ではなく、アップビットがコールドウォレットとホットウォレットの資産を管理する独特の方法である可能性がある」と指摘する。

HODL15Capitalも、3月15日のXの投稿で、下のヒートマップを参照しながら、韓国のエンティティが大量のビットコインを積み上げているとのべた。

BTC global transfers heatmap. Source: HODL15Capital

ミスター100のメインウォレットに関連する14のセカンダリウォレットアドレスはすべて、アップビットでKYC(本人確認)の検証を通過していると、オンチェーン分析を手掛けるMaiが3月15日のXのレスポンスで書いている。「ミスター100は小さなウォレットアドレスを使用してBTCを購入している。これはアップビットが通常ETHネットワークのアルトコインで行うことに非常に似ている。アップビットのキャッシュフローを追跡すれば、一致を見ることができる」。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。