米国、欧州、日本、英国の長期債利回りが急騰している。各国中央銀行が政策金利を引き下げる中でも上昇が続き、「G7国債市場の崩壊」と呼ぶアナリストも出ている。

米30年国債利回りは再び5%に接近し、フランスの長期国債は2011年以来初めて4%を突破した。英国債も27年ぶりの高水準を試し、日本の30年債は過去最高を更新している。

では、このマクロ経済環境下でビットコインはどう動くのか。

Source: The Kobeissi Letter

過去の利回り急騰時とビットコインの反応

歴史を見ると、国債利回り上昇に対するビットコインの反応は、その上昇要因によって異なる。インフレや財政赤字への懸念が背景にある場合、ビットコインは「デジタルゴールド」として連動して上昇することが多い。一方、金融引き締めが主因となる場合にはリスク資産として売られる傾向が強い。

2013年の「テーパータントラム」では、FRBが量的緩和縮小を示唆したことで米10年国債利回りが3%に急騰した。このとき、投資家がインフレと政府債務に不安を抱いた結果、ビットコインは100ドル未満から1000ドル超へと急騰した。

米10年債利回りとBTC価格 週足チャート Source: TradingView

2021年初頭も同様で、ポストコロナの景気回復期にインフレ懸念が強まり利回りが上昇。ビットコインは金と歩調を合わせて6万5000ドル近くまで上昇した。

米10年債利回りとBTC価格 週足チャート . Source: TradingView

しかし2018年は逆だった。利回り上昇の要因はインフレではなくFRBの積極的な利上げであり、実質利回りが高まったことでビットコインは約85%下落した。

米10年債利回りとBTC価格 週足チャート Source: TradingView

このパターンから、ビットコインはインフレや財政赤字、債務過剰による利回り上昇には強く、景気減速下の利上げ局面には弱い傾向が見て取れる。

今回の利回り上昇はビットコインに強気要因か

直近3日間でビットコインは4.2%上昇しており、米国やG7諸国の長期国債利回り上昇と歩調を合わせている。保有者の定着率も高まっており、BTCを売却せずヘッジ手段として保持する投資家が増えている。

BTC価格と保有率 Source: Glassnode

今回の利回り上昇の背景には各国の急速な債務拡大がある。米国の政府債務は7月の36.2兆ドルから9月には37.3兆ドルへ、わずか2か月で1兆ドル以上膨らんだ。欧州や英国も同様に借入需要が拡大しており、国債入札が高利回りでしか成立しなくなっている。例えば英国の30年債利回りは1998年以来の高水準となった。

英国の30年債利回り 月足チャート Source: TradingView

投資家の行動変化は既に始まっている。金の価格は今週3500ドル超の過去最高値を更新。市場は国債への信認から「ハードアセット」への逃避を進めている。

歴史的にビットコインは金より遅れて資金が流入するが、その後は金を上回るリターンを示すことが多い。高ベータの「デジタルゴールド」として、金融・財政の過剰に対する避難先となるからだ。

金価格の月足チャート. Source: TradingView

英国のDeFi企業サツマ・テクノロジーのチーフ・ビットコイン・ストラテジスト、マーク・モス氏は「中央銀行は長期金利のコントロールを失いつつある。近くYCC(イールドカーブ・コントロール)が導入される可能性もある。ビットコインをロングするのはあまりにも明白な選択だ」と指摘した

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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