仮想通貨業界における週次アクティブ開発者数が1年間で約40%減少した。「ナラティブ主導型」の開発が業界を席巻する中での動きだ。
仮想通貨関連のデータ・分析プラットフォーム「Artemis Terminal」によると、2024年3月17日時点で、オープンソースのリポジトリ上で1週間にタグ付けされたアクティブ開発者数は12,380人だった。これが2025年3月16日には約7,600人まで減少し、1年間で週次アクティブ開発者が38.6%減少したことが示された。
1,500以上のエコシステムを対象としたアクティブ開発者数は、Web3エコシステム全体の健全性を示す指標とされている。開発者の活動はプロトコルの革新や保守につながり、長期的な持続可能性の支えとなる。
Weekly active developers in the crypto space. Source: Artemis Terminal
「開発者主導のナラティブ」に注目集まる
Web3全体での開発者活動の低下を受け、SNS上では「開発者主導のナラティブ」がもっと必要だという声が上がっている。
レイヤー2ネットワーク「オプティミズム」の貢献者であるBinji Pande氏は、X上で、今回の減少が「長期的健全性を示す最も明確なシグナルのひとつ」であり、「関心が移り、インセンティブが枯渇し、投機が実用性を上回った結果」だと指摘した。同氏は「オンチェーンでやれることがあまりなく、本当に基盤を築いている開発者はスポットライトを浴びることがほとんどない」とも述べている。
Pande氏は「オンチェーンで意味のあることが起きなければ、分配の力は失われ、このゲームは崩壊しかねない」と警鐘を鳴らした。
また同氏は、コードを書くことだけでなく、エンドツーエンドのプロダクトを意識して取り組むチームや、開発者への支援がより一層必要だと強調し、「ナラティブ主導の開発ばかりだったが、今後は開発主導のナラティブが必要だ」と述べた。
「ミームコインのカジノ」が本物のプロダクトを押しのけた
これに対して開発者のBen Ward氏は、プロダクトを持つプロトコルにばかり報酬を与えてきた市場とベンチャーキャピタルの姿勢を批判した。
同氏は「仮想通貨でプロダクト・マーケット・フィットしている唯一のものは、DeFiを基盤とする“ミームコインのカジノ”だ」と述べたうえで、「これは持続可能ではなく、人々が本当に使いたいと思うものを構築する段階にはまだ至っていない」と付け加えた。
2024年第1四半期、Web3領域ではミームコインが最も利益を上げるテーマとなった。Pump.funのようなプロトコルによりトークンの発行が容易になったことが背景にある。このミームコインブームは2025年まで続き、米国大統領ドナルド・トランプ氏が自身のミームコイントークンを発行するまでに至った。
Pande氏は「業界はここまで来たが、進むべき方向を誤ったのかもしれない」と述べ、業界全体が原点に立ち返り、「再び仮想通貨に未来感を与える」方法を考えるべきだと締めくくった。