5月にステーキングされたイーサ(ETH)の数は、過去最高の296万ETHに達し、総ETH供給量の約2.46%を占めた。5月のステーキングされたETHの量は、2022年2月にステーキングされたETHの量(過去2番目の数)の2倍以上となった。

2020年11月以降の月ごとのステーキングされたイーサリアムの数。出典:Dune

ステーキングされたETHの大幅な増加は、4月12日の「シャペラ」アップグレードの1か月以内に発生した。このアップグレードで、バリデーターはステーキングされたETHを2年ぶりに出金することができるようになった。当時、多くの人々はETHの大量のステーキング解除がイーサリアムネットワークにとって弱気イベントになる可能性があると考えていた。しかし、シャペラの後に売却されたのは、ステーキングされたETHのうち1%未満にとどまった。

ステーキング解除イベントの最初の週に、ビーコンチェーンから約100万ETHがバリデーターによって引き出された。しかし、5月に入ると、ステーキングされたETHの数はすでに引き出しの数を上回った

ステーキングエンティティによる月ごとのETHデポジット。出典:Twitter

5月のイーサリアムステーキングの記録的な急増は、いくつかの要因によるものだが、最も顕著なのは米国の債務上限問題だろう。米ドルへの信頼が損なわれ、ETHステーキングで提供される高い利回り(APR)が注目された。リサーチアナリストのブライアン・マッコール氏は、「米国債務上限問題や銀行が破綻するという事態がイーサリアムの人気に影響を与え、ますます多くのユーザーが銀行に預けるのではなく、ETHに資金をステーキングすることを好むようになった」と語っている。

マッコール氏はまた、現在の年間利回り(APR)が約5.4%であり、世界中のほとんどの銀行よりも良い預金条件を提供していることから、イーサリアムのステーキングが5月に人気の選択肢となったとも指摘している。

米国の債務上限問題は、米財務省が発行できる国債の総額に法定上の上限が設けられており、連邦政府が既存の債務を返済するために借り入れることができる金額を制限している。

バイデン大統領とケビン・マッカーシー下院議長は、31兆4000億ドルの債務上限を引き上げることで合意した。しかし、ブラックロックのローレンス・フィンクCEOなどの金融専門家は、債務上限問題をめぐる騒動が米ドルに対する世界的な信頼を損なう可能性があると警告している

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン