仮想通貨カストディプラットフォームのトラストロジー(Trustology)の創業者兼CEOのアレックス・バトリン氏は、分散型金融(DeFi)プロトコルが効果的にスケーリングすれば、すぐにも世界の主要な流動性プールとして浮上する可能性があると主張している。
コインテレグラフは、BlockDown2020カンファレンスでバトリン氏に取材。同氏は、イーサリアム企業連合(EEA)の共同創設者の1人で理事会メンバーでもある。同氏に分散型金融の未来とDeFiが仮想通貨カストディにどのような影響を与えるのかを聞いた。
DeFiがグローバルな金融手段になる
バトリン氏は「DeFiはとてもエキサイティングだ」と強調し、次のように述べてた。
「私のマクロでの仮説は、DeFiが分散型であることで、よりグローバルになり、最も信頼できる流動性プールの1つになる可能性があるということだ」
DeFiプロトコルと集権型の取引所とを対比した上で、ほとんどの取引所は規制上の理由と顧客選好のため、地域ごとでの運営となっていると指摘。「DeFiを使用する人のIPアドレスの分布をみると、はるかにグローバルだ」と述べ、さらに次のように主張している。
「プロトコルが成熟し、スピードがアップすれば、流動性がはるかに深いものになり、価格もより安価なものになると予想される。したがって、仮説が実現した場合、私たちの資金調達のための主要なメカニズムになるだろう」
仮想通貨カストディとDeFi
バトリン氏は、分散型金融による資金調達は、カストディ事業者にとってもチャレンジングなものだと強調している。
「DeFiのDappsの問題は、アセットまたはスマートコントラクトで何ができるかについて、無数の異なる組み合わせがあることだ。私たちは、ブロックチェーンアセットを実際に管理しているのではなく、秘密鍵とトランザクションの管理をしているということになる」
「これがMetaMaskとの統合を行った理由だ」と、バトリン氏は付け加え、「基本的にすべてのトランザクションに再署名できるようにAPIを提供する」と述べている。
暗号資産のカストディの複雑が増しているとバトリン氏は述べた上で、「たくさんのことがある。最初はあなたは『ああ、ただのウォレットだ』と考えるだろうが、そのうちに、それが実際にはより複雑であることに気づくだろう」と語った。
スケーラビリティが課題になる可能性
分散型金融に関しての前向きな見通しを示したバトリン氏だが、分散型金融プロトコルがメインストリームになるためには、DeFiをサポートするプラットフォームにより大きなスケーラビリティが必要であると指摘している。
「DeFiが実際に機するには、1分あたり20トランザクションから、1分あたり1000からおそらく数千のトランザクションを処理する必要がある。そうなって初めて、私たちは本当に真剣にスタートすることになる」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン