米国のドナルド・トランプ大統領は、仮想通貨業界や保守派が主張するデバンキング(口座閉鎖・銀行サービス拒否)について、銀行規制当局に調査を指示する大統領令に署名する計画だと報じられている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が入手した大統領令の草案によれば、規制当局は、銀行が独占禁止法、消費者金融保護法、公正貸付慣行法などに違反していないかを調査することになる。違反が確認された場合は、罰金や法的措置が科される可能性があるという。トランプ氏は今週にも署名する可能性があるが、ホワイトハウスが計画を延期または変更する可能性もある。
仮想通貨業界の経営者らは長らく、バイデン政権が規制当局を使って銀行に圧力をかけ、デジタル資産関連企業との取引を避けるよう仕向け、金融システムから仮想通貨業界を切り離そうとしたと主張してきた。
規制当局に方針転換を求める内容も
報じられた草案では、銀行が一部顧客(仮想通貨企業など)を排除する要因となった可能性のある方針を廃止するよう、規制当局に求めている。また、米国中小企業庁(SBA)に対しても、同庁が保証する中小企業向け融資に関連する銀行慣行の見直しを指示している。
さらに、潜在的な法令違反の一部を司法省に付託し、法務長官のもとで捜査を行うよう要請している。
WSJは6月、ホワイトハウスが、仮想通貨など特定産業に対する銀行サービスの遮断を防ぐ目的で、トランプ氏に同様の大統領令を署名させる計画を進めていると報じていた。
「オペレーション・チョークポイント2.0」疑惑
仮想通貨業界の経営者らは、2022年末にFTXの破綻と巨額詐欺が発覚した後、当時のジョー・バイデン前大統領が銀行を通じて業界を金融システムから切り離す動きを強めたと主張している。
コインベースのポール・グレワル最高法務責任者(CLO)は、2024年2月の米議会公聴会で、バイデン政権下の米連邦預金保険公社(FDIC)が仮想通貨やステーブルコインに関して銀行に対し厳しい検査や質問を行い、「圧力に屈するまで叩き続けた」と証言した。
コインベースが支援する情報公開法(FOIA)訴訟では、FDICが特定の金融機関に仮想通貨関連業務の一時停止を要請していたことが明らかになり、グレワル氏はこの事実を「単なる陰謀論ではなかった証拠だ」と述べた。
仮想通貨ベンチャー投資家のニック・カーター氏は2023年2月、この現象を「オペレーション・チョークポイント2.0」と名付けた。これは2010年代に米司法省が銀行や発展的金融業者に対して行った「オペレーション・チョークポイント」から着想を得た名称だ。
政治的デバンキング疑惑にも対象拡大
この大統領令は、保守派政治家や支持者が銀行サービスを拒否・解約されたとする事例についても調査対象とする方針だと報じられている。
保守派の中には、銀行が政治的信条を理由にサービスを拒否していると主張する声もある。銀行業界ではこうした行為を「デリスキング(リスク回避)」と呼び、法的・金融的・風評的リスクがある場合には口座を閉鎖できる裁量が広く認められている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は6月、通貨監督庁(OCC)やFDICに続き、評判リスクを理由とする検査をやめると発表している。
bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】