結果発表予定日時からまもなく24時間。アイオワ州の民主党の党員集会そのものに対する正当性に疑念が生じている。

民主党は、投票結果の「不一致」や「コードのエラー」を理由に党員集会の結果発表を延期。日本時間5日朝になってようやく「部分的な結果」としてバーニー・サンダース氏とピート・ブティジェッジ氏がリードしていると報じられた

アイオワ州での混乱について政治専門のニュースサイトであるポリティコは、「”完全なメルトダウン”:アイオワ州が大混乱、公式結果発表が見えず」と報道。公式発表が出ないまま、複数の候補者が「勝利宣言」をする事態になっていると報じた。

アイオワ州の党員集会は、大統領選本格スタートの口火を切る大事な戦い。勝利者が全米に向けてスピーチをする機会を与えられことから、今後の予備選挙に向けて勢いをつけられる絶好の機会と位置付けられている。

歴史的にも2008年にオバマ元大統領がアイオワ州で勝利。当時は無名に近かった同氏は勝利宣言のスピーチで勢いをつけて結局は大統領当選につなげた。

今年のアイオワ州の党員集会では、たとえ今後勝者が公式で発表されたとしてもその勝者は勢いをつけるスピーチをする機会を失ったことになる。

複数の候補が勝利宣言

しびれを切らしたブディジェッジ氏は「勝利宣言」。しかし、バーニー・サンダース側はこれに反論し、非公式のデータを引用して自身の手応えを伝えた。

一方、ミネソタ州選出の上院議員、エイミー・クロブチャー氏は、同様に非公式の結果をもとに、堅調なパフォーマンスを見せたと発表した。

まさに複数の候補が「勝利宣言」をする結果となっている。

ポリティコは、この事態を受けて得をしたのはオバマ大統領時代の副大統領であるジョー・バイデン氏だと指摘。出口調査の結果ではバイデン氏のパフォーマンスが低調だった。今回の投票集計の不備のおかげで「敗北」を曖昧にすることができたというわけだ。

しかし、この事態は民主党の2020年の大統領選挙に対して大きな影を落とす結果となるだろう。

技術的な問題で民主的な投票プロセスに疑義が生じたことが大きいほか、候補者同士の間で亀裂を生む結果となるかもしれない。

とりわけバイデン氏は、民主党のエスタブリッシュメント(既成勢力、主流派)の候補だ。時には社会主義的な考えを示すサンダース氏や新参者のブディジェッジ氏側が、今回の混乱を受けてバイデン氏側に不信感を持っても不思議ではない。

(参照:Politico